中京エリアの食品・飲料メーカーでは、コロナ禍から続く健康志向の需要に着目した商品に力を入れる。
大きな話題となった機能性表示食品だが、食品スーパーで競合とのシェア争いを続ける中で、機能性表示食品への届出や健康機能の研究などを行い、消費者に向けて商品の価値を分かりやすく示し、他社商品との差別化を図ることで活路を見いだしている。
豆乳飲料などを展開するマルサンアイ(岡崎市)では9月2日、豆乳とアーモンドミルクで初めて「睡眠の質改善」「疲労感緩和」「血圧低下」の3つのヘルスクレームの機能性表示食品を発売する。
同社の機能性表示食品では、植物性由来のヨーグルト「豆乳グルト」シリーズで22年3月から「お通じを改善する」機能性表示で商品を展開。豆乳グルトは10年に発売以来13年連続で出荷個数が増加し、累計6千万個を突破した人気商品に成長した。
新商品では、「睡眠の質を改善させ、すっきりとした目覚めを得ることに役立つ機能」「一時的な精神的ストレスや疲労感を緩和する機能」「血圧が高めの方の血圧を下げる機能」を持つGABAを1本200㎖当たり100㎎配合した。独特の風味を持つGABA原料の味が前に出ないように試作を重ね、従来の豆乳、アーモンドミルクと変わらないおいしさを実現した。
名古屋市に本社を置くポッカサッポロフード&ビバレッジでは、体脂肪の燃焼などを目的に人気を得ている「MCT SOUP」シリーズを機能性表示食品としてリニューアルした。
レモン飲料などを多数展開する同社では、「顔のむくみ感を軽減する機能」の「キレートレモンMUKUMI」が若年層を中心に話題となり、販売数量を伸ばしている。
「MCT SOUP」では、「MCT(中鎖脂肪酸)がBMIが高めの方のウエストサイズを減らす働きのあるカップ入りスープ」として機能性表示にすることで、商品の健康価値を分かりやすく伝えている。
加工わさびなどを展開する金印では「本わさび」の根茎や根の部分に含まれる健康成分『ヘキサラファン(6-MSITC)』について、20年以上にわたり産学連携で研究を進める。
昨年には人間環境大学総合心理学部の野内類教授、東北大学の川島隆太教授を中心とする研究グループとともに、本わさびに含まれる健康成分『ヘキサラファン』が健康な高齢者の認知機能に及ぼす効果を検証した研究成果を発表。世界的な経済誌であるForbesをはじめ、国内外の様々な媒体で取り上げられた。
同社では、「運動習慣のない中高年の方の認知機能の一部である判断力や注意力を向上させる」機能を持つチューブタイプの「香るおろし本わさび信州安曇野産」などを展開しており、今後も本わさびの健康・美容効果について研究を進め、有効性を広めていく考えだ。