ファミリーマートは、カップ麺カテゴリーでプライベートブランド(PB)「ファミマル」の存在感が高まっている。売れ筋に育ったタテ型ビッグのシリーズは定番4アイテムに集約する施策が奏功し、直近は新商品「かつおとソーキ味 沖縄風そば」がヒット。また有名店とのタイアップで話題性のある商品づくりも追求している。カップ麺を担当する商品本部加工食品・飲料部の長谷田恭一氏は「当社でカップ麺のPB構成比は約3割。生活者のニーズや環境の変化に対応し、近い将来には4割程度まで引き上げたい」と展望する。
前2月期のカップ麺カテゴリー売上高は前年比107~108%。NB・PBとも価格改定を実施した環境下、数量ベースでも前年クリアした。「物価高の中でコンビニユーザーはコスパ・タイパを求める傾向もあり、カップ麺は引き続き選ばれている」(長谷田氏)。
牽引したのは「ファミマル」を冠したPBだ。タテ型ビッグ(税別198円)、タテ型レギュラー(同158円)の各製品群とも販売数量を伸ばし、売上は約3割増となった。
24年度は、販売好調なタテ型ビッグの定番PBを従来の8品から4品(「横浜家系 豚骨醬油ラーメン」「6種の野菜を使用 旨辛味噌」「ねぎどっさり 豚骨ラーメン」など)に集約した。狙いは推奨商品を明確化して売れ筋の導入率を高めることだ。長谷田氏は「定番の露出拡大が順調に進み、トータルの売上は維持できている」とした上で、「タテ型ビッグのPBは価値と価格のバランスが評価され、カップ麺売り場で主役を担いつつある」と手応えを話す。今春は新商品「かつおとソーキ味 沖縄風そば」(5月発売)がヒット。夏季に向けて関心が高まるメニューを商品化した。
6月上旬から、これまでスポット商品だった「味仙本店監修 台湾ラーメン」を通年商品として全国発売した。タテ型ビッグの名店コラボで最大の売れ筋だったことから期待は大きい。拡売にあわせアピールを強化するとともに、「味仙本店」(名古屋市)の地元・中日本地区の店舗ではおむすびや焼き麺なども同時展開する。「カップ麺発でファミマならではの商品や売り場を充実させていきたい」(長谷田氏)。
一方、「ファミマル」の大口径カップ麺を強化する一環で、札幌の有名店が監修した「Lab Q かけ醤油らぁ麺」を新発売、想定以上の売れ行きをみせている。店舗で提供される上質な味わいを追求すべく、たっぷりの液体スープ2袋を使用し芳醇な醤油スープに仕上げた。同じく人気店監修の「東京油組総本店 油そば」も好スタート。韓国の人気アーティストが店舗のファンを公言していることもあり、他の商品に比べて女性層の反応が大きいという。
「ファミマル」のタテ型レギュラーは定番7品をラインアップ。売上は「濃厚札幌味噌」「濃厚旨辛担々麺」「海鮮ちゃんぽん」がベスト3。前期も好調な売れ行きだった。