キリンビバレッジは、「午後の紅茶」ブランドで紅茶の飲用体験を増やし、“ジュースの選択肢”というイメージから脱却を図り市場拡大を目指す。
6月7日、戦略発表会に登壇した井上一弘社長は「年間を通じて、紅茶が持つ“上質感”や“報酬感”の飲用体験を提案していく。『午後の紅茶』ブランドで、日本の紅茶市場を牽引していく」と意欲をのぞかせる。
原英嗣マーケティング部ブランド担当主査シニアブランドマネジャーは、さらなる拡大への課題として、非飲用者層の紅茶へのイメージの浸透が不十分な点を挙げる。
「“他のカテゴリーと比べて、紅茶を飲むシーンがわからない”“紅茶飲料はジュースの選択肢のひとつ”と思われていることがわかった」と説明する。
これらの課題に対応すべく、紅茶の飲用シーンを伝えるとともに、紅茶本来の上質さをアピールしていく。
原氏は「夏のアイスティー提案によって、自然と“暑い夏には紅茶が飲みたい”と想起していただくようにする。紅茶本来の嗜好品としての上質な飲用体験によって、普段飲んでいるものよりも少し上質なものと思って選んでいただく。“紅茶といえばホット、紅茶は自分にはあまり関係ない飲み物”と思われているお客様との距離をなくしていく」と語る。
接点拡大のための第一手が、「午後の紅茶 ストレートティー」「同 レモンティー」「同 ミルクティー」の定番3品のリニューアル発売となる。
中味をブラッシュアップしパッケージデザインを変更するとともに、500mlペットボトルの容器を6年ぶりにリニューアルし6月18日から発売する。
中味は「ストレートティー」は満足感がありながらもすっきりとした味わい、「レモンティー」はよりレモンの甘酸っぱさがより感じられる味わい、「ミルクティー」はミルクのコクを増やし満足感が高まる味わいにそれぞれ磨きをかけた。
パッケージは、ダイヤカットの容器と、余白を増やした新ラベルで高級感を演出している。
期間限定の新商品2品も発売し、ニュースを発信し店頭での接点を増やしていく。
7月2日から発売する「午後の紅茶 Sparkling ライチスカッシュ」は、紅茶と炭酸を掛け合わせた“ティースパークリング”。炭酸飲料は飲むが、日常的に紅茶は飲んでいないという層へのアプローチを担う。
原氏は「ちょっと大人な炭酸飲料で、“子どもっぽい炭酸飲料は飲みにくい”という人にも選んでいただける」と胸を張る。
高付加価値タイプの位置づけとなる「TEA SELECTION」シリーズからは「SUMMER BLEND ICE TEA」を7月9日から期間限定で新発売。特製のブレンドに南国の果実の香りを合わせ、夏らしい香りが楽しめるフレーバーティーになっている。
新商品の発売によって、「TEA SELECTION」シリーズの露出を増やし認知拡大も目的とする。
夏のアイスティー提案のコミュニケーションも昨年に引き続き実施する。
「“夏にアイスティーを”と言っても実際に飲んでいただくのは難しい」との考えのもと、協業パートナーとのサンプリングにも注力する。
海やホテル、飲食店でのサンプリングを通して「一回でも多くアイスティーの飲用体験をしていただく」。