JR東海リテイリング・プラス 統合効果追求の1年に 店舗最適配置や商品力強化を推進

JR東海リテイリング・プラスは24年度、合併効果の追求に力を注ぐ。

同社は23年10月に東海キヨスクとJR東海パッセンジャーズ(CP)が合併。新生スタートを切ったが、コロナ禍の収束に伴う東海道新幹線の輸送量増加を追い風に売上が急回復。24年3月期は早くも当面目標に据えた1千億円超えを果たした。4月17日に開かれた同社の営業説明会で加藤公一社長は、「重複部門の整理やコスト・経費削減など内向きの話ではなく、前向きな攻めの施策」として要点を説明。取引先メーカーなど招待者に協力を呼びかけた。

加藤社長によると、24年度は「ワンストップ店舗」「FC(フランチャイズビジネス)による駅ソトへの出店」「店舗の業態転換」「競合店とのMD上の差別化」の四つを重点テーマに、個店営業力の強化や店舗の最適配置を推し進める。

「ワンストップ店舗」では、自社競合状態にある旧キヨスク店舗と旧CP店舗を一つにまとめ、売れ筋商品への集約と取扱商品の拡充を行うことで、旧2店舗の合算よりも高い売上効果の実現を目指す。すでに数店舗を手掛けているが、新幹線輸送量が18年度比7割程度の回復時でもワンストップ店舗は旧2店舗の合算を上回る売上を記録。「いかにマーケットを無視した商売をしていたかということ。2社が合併したことで制約なく改造していける」(同)。

「FCによる駅ソトへの出店」については、駅ナカが飽和状態となっているなか、新たな収益の創出を狙いに外食FCジーとして駅ソトに活路を広げようというもの。当面は「Soup Stock Tokyo」での展開拡大を進めるが、新たなFC加盟も模索中で具体的物件を詰めている状況だ。

「店舗の業態転換」は、駅ナカにおける人流や利用者ニーズにマッチした店舗の再配置が主眼。立地を見定め、物販⇋飲食の業態転換を進める。「今年度下期にはお披露目できるかと思う」(同)。「競合店とのMD上の差別化」に関しては、鉄道系ならではの強みを生かしたオリジナル商品や限定商品の強化、販促・イベントなどを積極展開する。

「昨年度は、他のJR系駅ナカ事業者と連携して販売したおまけカード付菓子『鉄道チップス』が好評だった。このような提案をぜひともしていただき、WINWINの関係を構築していきたい」と語った。