伊藤忠食品は今期、売上高7千億円(4.1%増)、経常利益100億円(8.5%増)を計画する。当期純利益は5億円のバッファーを含めた70億円(6.1%増)を見込む。
4月30日に東京本社で開いた決算会見で、岡本均社長は「低重心経営を徹底し、マーケットインの意識を強く持って、メーカー・小売業に役立つ提案と機能で価値を高めていく」と力強い決意を示した。
同社の前期連結は売上高6千724億円(4.6%増)、経常利益92億円(3.1%増)、当期利益65億円(36.3%増)の増収増益で着地。コロナ禍からの消費回復と値上げによる増収効果に加え、利益面では同業卸・メーカーとの物流協業による効率化施策などが寄与し、5期連続の増益を達成した。
24年度の見通しについて、岡本社長は「為替やエネルギー価格の動向から、今後も商品の値上げは続くだろうが、足元では原材料価格が落ち着き、値下げの動きもみられる。消費の先行きは不透明だが、いずれにしても変化に適切に対応していくことが大事になる」と強調。
そのうえで、今期の取り組みテーマとして「キャッチ・ザ・マーケット」を掲げ、消費者起点の提案活動をぶらすことなく、さらに深めていく方針を示した。
「物価上昇が続く中で、メーカーも商品の付加価値を高めている。(当社はサイネージなどを通じて)その価値を消費者に正確に伝え、売場で手に取ってもらうための提案活動を強化してきた。こうした機能をさらに磨き、仕入先・得意先の成長拡大に貢献していく」と語った。
具体的な取り組みでは、デジタルサイネージの導入店舗数は今期中に1万店を超える見通しで、製配販と消費者のつながりによる新たな顧客体験の創出に力を入れる。サイネージを活用した販促提案やキャンペーン施策が売上増加に結び付く施策として取り組む企業が増え、「私どもの提案や機能に対する評価も高まっている」という。
商品開発では、冷凍技術「凍眠」を活用したフルーツや有名店監修の冷凍惣菜など、多様化する消費者ニーズを充足する商品を拡充。このほど、大阪の自社物流拠点に凍結機を導入し、蔵元直送の地酒を急速冷凍した「凍結酒」の展開も強化する。