静岡茶市場(静岡市、内野泰秀社長)は、これまでで最も早い4月12日に新茶初取引会を開催した。昭和31年(1956年)の開業以来最も早かった昨年より、さらに1日早めた。その狙いについて内野社長は「新茶をいち早く届けて消費を喚起したい」と話した。
茶の摘採シーズンは一般的に南の地域から始まる。茶の木の芽吹きに一定の暖かさが必要だからだ。今年の茶シーズンも3月中に種子島で摘採がスタート。静岡と並ぶ茶生産地である鹿児島では、4月4日に鹿児島茶市場で新茶初取引が開催され、点数104点・数量6tが上場した。
一方の静岡県産茶は生育が遅れた中、3月下旬の冷え込みで新芽の生育が抑えられた。結果、初取引会に出品されたのは過去最小の8点・50.8㎏。昨年の96点・1千397㎏を大きく下回った。
取引された新茶の最高値は1㎏当たり111万1千111円で例年並みだったが、点数が少なかった影響で平均単価は7万7千637円と昨年から10倍ほどの高値となった。
取引開始のセレモニーで、内野社長は新たなお茶市場の創出に取り組む考えを示し、「紅茶の適切な格付けの確立と流通の形成を進め、煎茶や碾茶(てんちゃ)を含めた多様なお茶の楽しみ方を家庭に届ける。ポイントは女性だと考えている」と述べた。1点だけ出品された和紅茶には、昨年を5千円上回る2万5千円の値がつき、幸先の良い初取引となった。
また今年は旅行会社が「初取引見学ツアー」を初めて実施。山形県や群馬県など、県外からの7人を含む10人が茶市場を訪問した。初取引の様子を見学したほか、内野社長から呈茶を受けるなどしてお茶文化に親しんだ。