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飲料嗜好飲料アップサイクルでコーヒーの香りひきたつカップ開発 工場で発生する規格外の廃棄コーヒー豆20%使用 AGFとアサヒが共創
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アップサイクルでコーヒーの香りひきたつカップ開発 工場で発生する規格外の廃棄コーヒー豆20%使用 AGFとアサヒが共創

 コーヒーの香りを引き立たせるコーヒーカップがアップサイクルにより開発された。

 味の素AGFとアサヒグループのアサヒユウアスの共創によるもの。
 「Aroma Loop」の商品名で、3月8日、応援購入サービス「Makuake(マクアケ)」で先行予約販売を開始した。

 「Aroma Loop」はAGFの工場でコーヒー豆の品種の切り替え時に廃棄されるコーヒー粉やコーヒーの欠点豆に、バイオマスプラスチックやリサイクルプラスチックなどを加えて製作。コーヒー豆の使用割合は2割に上る。

 3月8日、「Coffeeloopプロジェクト新商品体験会」に登壇したAGFのソリューションビジネス部の松本直仁氏は「AGFが製造工程で廃棄せざるを得ないコーヒーを、アップサイクルでゼロにしたい」との青写真を描く。

 当面は、AGFが排出しているコーヒー廃棄量の1%削減を目標に掲げる。

 「Aroma Loop」は、コーヒーを美味しく飲むための工夫として、卵のような丸みのある形状と二重構造が特徴。

 AGFの萩野武史開発研究所研究開発企画部部長は「口の狭まった形によって、コーヒーの香り立ちや濃度感、後味を強く感じられる。鼻の部分に液面が近づく構造で風味も感じやすい。底の部分を二重構造にしたことで、表面が熱くなりにくく持ちやすく、コーヒーの熱が外に逃げにくくなり、おいしい温度で飲める時間が伸びる」と胸を張る。

 イラストレーターのCOFFEE BOYさんが描き下ろしたイラスト入りのカップなどもラインアップに取り揃える。

左から味の素AGFの萩野武史開発研究所研究開発企画部部長、松本直仁ソリューションビジネス部ノンコーヒー開発グループグループ長代理、アサヒユウアス社の古原徹たのしさユニットユニットリーダー
左から味の素AGFの萩野武史開発研究所研究開発企画部部長、松本直仁ソリューションビジネス部ノンコーヒー開発グループグループ長代理、アサヒユウアス社の古原徹たのしさユニットユニットリーダー

 廃棄されるコーヒー粉を減らしてアップサイクルの機運を高めるとともに、よりおいしく飲めるコーヒーカップを販売して経済的価値にもつなげていくのが両社共通の目的とみられる。

 アサヒユウアスとしては、アサヒユウアスが主導して推進している「Coffeeloopプロジェクト」の一環。

 一方、AGFは経済的価値として業務用の新規開拓などに期待を寄せる。

 「新たにホテル様などとの関係性を深めるのは一筋縄ではいかない。ただし、アップサイクルの取り組みを紹介し一緒に活動を行うことによって関係性を深め、新しい取引も生まれる可能性がある」と松本氏は述べる。

 開発のきっかけには、コロナ禍での気付きがある。

 松本氏は「コロナ禍の影響で業務用の売り上げが激減し、ロスが発生してしまったことで、有効に活用する仕組みが作れないかと考えるようになった。社内でいろいろヒアリングしたところ、初めて工場での品種の切り替え時や、欠点豆等で発生するコーヒー粉の多さを知り、これを資源として有効活用できないかと考えるようになった」と振り返る。

 アップサイクルの可能性を模索するなか、約3年前にアサヒユウアスとのつながりができ、本格的な取り組みがスタートした。

 2022年3月には、コーヒーの抽出後の粉を使用したアップサイクルカップの第1号をイベントで販売。エコ意識の高い生活者や、SDGsの取り組みに関心の高い企業から高評価を得た一方で、厳しい意見も寄せられた。

 「“コーヒーで知られるAGFの出すカップがなぜタンブラー型なのか”“カップとしての機能はどうなのか”というコメントをいただいた。ただアップサイクルをしているだけではお客様に手に取ってもらえないと考えると同時に、やはりAGFがプロデュースするのであれば、コーヒーをおいしく飲めるようなカップを作りたいと決意した」という。

 3月21日現在、応援購入サービス「Makuake」では目標金額の836%を達成し、購入総額は250万円を突破。応援購入は4月8日までとなっている。

 AGFとしては今後、一般生活者も取り込みながら、ホテルやカフェといった業務用での展開をメインに「Aroma Loop」の普及に取り組む。

 「Aroma Loop」の販売者であるアサヒユウアスも普及に注力の構え。

 アサヒユウアスのたのしさユニットユニットリーダーの古原徹氏は「現在は、大規模なホテルの客室への導入が大きな目標。こだわりのカフェなどでも導入や物販を期待している。『Aroma Loop』をブラッシュアップしていくとともに、市場のニーズを拾いながら新商品も検討していく」との考えを明らかにする。

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