家庭用冷凍食品 数量回復へ攻勢強める 新CM・販促で餃子や炒飯など価値訴求

家庭用冷凍食品の上位メーカーは、24年春夏シーズンに向けて新テレビCMの投入や店頭販促の強化を推進する。味の素冷凍食品は「ギョーザ」、ニチレイフーズは「本格炒め炒飯」で新プロモーションを展開。背景には、価格改定の影響一巡や液卵供給の回復などがある。定番品の価値訴求を軸にマーケットのさらなる活性化を図っていく。

インテージSRI+データによる23年1~12月の家庭用冷凍調理品市場(凍菜など除く)は5千207億円、前年比8.3%増だった。コロナ禍前の19年比は30.1%増まで上昇。同社市場アナリストの木地利光氏は「家庭で簡便に本格的な料理を楽しめる冷凍調理品の人気の高さが見て取れる」と評価する。

一方、この数字は価格改定による単価アップの効果を含む。業界調べによる数量ベースの前年比は3~4%程度マイナスとなったようだ。節約志向による買い上げ点数の減少を主因に、23年春夏は液卵不足による炒飯・お好み焼きなどの販促抑制が足かせとなった。今春はこれらの課題が一巡することから、各社はプロモーションなどで販売攻勢を強め、数量の本格的な回復を図りたい考えだ。

味の素冷凍食品は、「ギョーザ」で3月28日から広瀬すずさん、やす子さんを起用した新テレビCM「羽根パネェ~!篇」を放映。昨秋に始動した「冷凍餃子フライパンチャレンジ」プロジェクトを経て、よりキレイに焼けるようになった新「ギョーザ」の魅力を訴求する。あわせてCMに連動した販促物も店頭展開。同社は「(23年実施した価格改定を踏まえ)新しい価格に見合った製品の価値をプロモーションなどでしっかり伝えていきたい」と話す。

ニチレイフーズは、「本格炒め炒飯」の新テレビCMに今田美桜さんを起用、「本格パラ凄っ。」篇を3月15日から放映した。両者のタッグは昨年秋発売のヒット商品「香ばし麺の五目あんかけ焼そば」に続くもの。新CMでは今田さんが中華料理店の店員に扮し、「本格炒め炒飯」の特長である250℃以上の高温熱風で炒め、焦がしネギで香ばしく仕上げたパラパラ感を訴求している。

ニッスイは、「まんぞくプレート」シリーズ初のテレビCMを放映。尾上松也さんが「ふっくらごはんと豚肉生姜焼き」をほお張り、絶品おかずと釜炊き白ごはんのおいしさをアピールする。シリーズ品を対象に消費者キャンペーンを3月下旬から5月下旬まで実施。

マルハニチロは、「新中華街」ブランドの主力メニュー「横浜あんかけラーメン」「五目あんかけ焼そば」をより強固な看板商品に育成する。「同ブランドの『あおり炒めの焼豚炒飯』などと合わせ、売場でも横断的に訴求していきたい」(同社)との意気込み。5~6月に麺類でテレビCMを放映する予定。

テーブルマークは、5月2日「ごっつの日」に向け「ごっつ旨い お好み焼」シリーズの拡販に注力。マネキン販売も展開して店頭を活性化する。昨春に生地中の卵を増量し「フワッフワッ感」がアップしたおいしさを改めて伝える。