カナカン(23年3月期年商1千700億円)と北陸中央食品(23年8月期年商105億円)は、約1年前から今回の株式譲渡の話を進めてきた。北陸中央食品は地元の取引先や仕入先からの支持が高いが、コロナ禍で強みとする地元の中小食品企業の廃業が相次いだほか、ここ数年は地元取引先の有力スーパーが北陸圏外への進出を強化する中、広域対応が課題でもあった。また、20年に新設した新冷凍センターが順調に稼働していたが、帳合変更で稼働率が減少し、物流を委託した影響などもあり、人口減の北陸市場での今後の事業継続として、大手グループ入りを検討していた。
こういった中で同じ北陸で苦楽を分かち合ってきたカナカンへの株式譲渡を澤田悦守前会長が決断した。株式売却に当たり、全従業員を任せるなどもあり、同じ北陸で信頼たるカナカンを選んだ。澤田佳宏前社長も「北陸の食品市場の安定化が重要」としている。