全国小麦粉卸商組合連合会と東京小麦粉元卸協同組合は1月9日、新年賀詞交歓会を開催した。冒頭、全粉卸会長で東粉元卸理事長の館野洋一郎氏があいさつ。
館野氏は「昨年4月期の輸入麦価改定では政府による激変緩和措置で値上げ幅が縮小された。一方、10月期は従来通りの制度運用で3年ぶりの引き下げに。個人的には、国民生活に不可欠な小麦粉に対して政府にご配慮いただいたことを感謝している。ただ、小麦粉卸や2次加工メーカーにとっては、コスト高が続く中で容易に価格転嫁をしにくい状況にあった。あらためてルールに則した制度運用、適切な情報発信が重要だと認識した」と昨年の業界を振り返った。
さらに「現在、政府では食料・農業・農村基本法の見直しを進めている。基本法改正は、主要食料の安定供給という点で注目が集まっている。中長期的な食料安定供給の仕組みづくりや、情報発信をお願いしたい。小麦の需給ひっ迫や価格高騰が生じた場合、小麦粉卸、2次加工メーカーともに経営環境が厳しくなる。経営改善の取り組みに対する支援も不可欠だと考える」と述べた。
製粉業界を代表してあいさつした製粉協会の宮原朋宏会長は、「小麦粉卸企業は2次加工メーカーと製粉企業をつなぐ重要な役割を担っている。世界情勢はウクライナ問題の長期化や、中東問題といった地政学上リスクの高まりと気候変動の長期化などが食料安保に対する大きな脅威となっている。農水省では、食料安保に対する検討を進めているが、製粉協会としても農水省、輸出国の関連機関、内麦の生産者サイドと緊密に連携して対応して、小麦粉の安定供給に努めたい」と話した。