ファミリーマート低重心化経営に徹する デリバリーサービスは「やらない」 細見社長が見解

ファミリーマートの細見研介社長は12月4日取材に応じ、今後について「先読みできない時代になるため低重心経営が非常に大事だと考えている」と述べ、プライベートブランド(PB)の「ファミマル」やデジタル施策に引き続き磨きをかけていく考えを明らかにした。

先行き不透明な要素としては、ガソリン・電気・都市ガスの補助金制度が延長の動きはあるものの今後打ち切られる公算が大きいことや不可抗力となる天候要因、人流回復に伴うハレの日需要の反動減などを挙げる。

このような要素を勘案して「1つ確実に言えることは体力のある企業が優位だということ」と言い切る。

継続強化していくデジタル施策については「やり切った上で、次の一歩が何なのかを考えていく」。

ファミマのアプリ「ファミペイ」などと連動した大型デジタルサイネージ「FamilyMartVision」設置店舗数は年度内をめどにに1万店に上り、視聴者数は1000万人強となる。

競合が注力するデリバリーサービスについては「やらない」と断言する。

「ファミマル」の直近の動きとしては、おむすびやフィナンシェなどのコンビニ定番品に植物性由来の原料を使用した新商品を12月5日に数量限定で発売開始した。

今年については「新型コロナウイルスが5類に移行し、何十年かぶりのインフレが始まり、価格対応と賃上げが行われ底流ではすごくいいムードで流れていった。政府のガソリン代や電気代の支援などが下支えとなり景気が腰折れしなかったのは非常に有難かった」と振り返る。

人流回復は猛暑が後押ししたという。

「6月以降、暑さでマスクを外す人が増加し、昼間暑すぎたため朝・晩の人出が如実に増えて外出に対する心のハードルが下がったのは我々にとっては非常に大きかった」と述べる。

細見社長は今年、リアルのコミュニケーションの重要性も再認識。

「コミュニケーションのレベルが物凄く上がると同時に世の中の流れやビジネス上で決断を下すスピードが加速している。リアルでいろいろなものが行われることの重要さを皆さん感じておられ“リモートの世界が来る”なんてことは妄想だった。やはり世の中をグッと推し進めていくには非常にリアルなコンタクトが必要不可欠だと改めて実感した」と語る。