アサヒ「ワンダ」少しだけならカフェインをよしとする「微」の領域に挑む 新ペットボトルコーヒー「SLOW TIME COFFEE」登場

 カフェインレスコーヒーやデカフェのようにコーヒーに含まれるカフェインを忌避するのではなく少量ならばよしとする――。

 このようなニーズに着目してアサヒ飲料がコーヒーで“微カフェイン”の領域に挑むべく開発したのが「ワンダ SLOW TIME COFFEE」。

 同商品は、内容量100g中にコーヒー生豆換算で5g以上のコーヒー豆から抽出またはコーヒー分を含むコーヒー規格のペットボトル(PET)コーヒー。

 通常のコーヒー豆にカット率90%以上のカフェインレスコーヒー豆をブレンドし、同社主要品比で100ml当たりのカフェインを55%カットした点が特長となっている。

 この設計により、飲用量が増えるに伴いカフェインの摂取量も増えるブラックタイプのPETコーヒーの不満点と、おいしさへのニーズが満たされないというカフェインレスコーヒーに対する未充足の解消を図る。

 カット率55%は、おいしさを担保する微カフェインの領域を目指し70%カットや60%カットなど試作を経て辿り着いた。

アサヒ飲料の荒川浩一マーケティング本部マーケティング三部コーヒーグループリーダー(右)とコーヒーグループの万代文子氏 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
アサヒ飲料の荒川浩一マーケティング本部マーケティング三部コーヒーグループリーダー(右)とコーヒーグループの万代文子氏

 開発を担当した万代文子さんは12日開催の発表会で「カフェインは決して悪いものではなく、気付けや頑張りたいときなどカフェインをある程度摂りたい気持ちに寄り添い、カフェインレスとは異なる飲用シーンが創出できると考えている」と語る。

 “微”が持つ言葉の響きにも着目した。

 「微アルコールや微糖のように“微”には、少しだけならアルコールや甘いものを摂りたいといったようにプラスの要素があり、カフェインレスの“レス”よりもいい響きに聞こえる」との見方を示す。

 商品名の「SLOW TIME」には「自分のペースに合わせて飲むのにはちょうどよく、強すぎず優しすぎない微カフェインブラックということで、コーヒー本来の風味が楽しめて頑張る方にゆっくりと時間をかけて味わってほしい」との思いを込めた。

 発売日は10月31日。新市場創出にあたり「ご購入されたお客様のお声に耳を傾けて小さく生んで大きく育てていく」考えから、当面は販売チャネルをAmazon.co,jpに絞って展開していく。

 ターゲットは20~30代男性。ブラックタイプのPETコーヒー市場のボリュームゾーンとされる40~50代男性よりも若く設定した。

 訴求にあたっては、微カフェインではなくおいしさを前面に押し出していく。

 パッケージデザインもおいしさを表現。

 「健康的なイメージが先についてしまうと、味への(ネガティブな)イメージがなかなか払拭できないため、まずはおいしさの訴求を第一優先に考え、次に“カフェインが少し気になっている”という不満点を解消するものとして左上にアイコンをつけた」と説明する。

 容器形状はマグカップをイメージ。

 「しっかり腰を据えて飲んでもらうことを考えると、スタイリッシュな細身のグラスではなく、大きいマグカップのほうがゆっくり飲める」とみている。

 仕事終わりなどの飲用を促進し“前向きな気持ちで充実した一日をつくる”のメッセージを掲げる「ワンダ」ブランドに貢献していく。

 なお12日の発表会で、荒川浩一さんは冒頭、PETコーヒー市場の中でブラックタイプが堅調に推移していることと、健康意識の高まりでカフェインレス市場が拡大していることに触れた。