餃子専門店「大阪王将」は、熟練の職人技を完全コピーした調理ロボットを新たに導入した。店舗スタッフの負担軽減のみならず、従来は難しかった「炒め物料理」2品のセットメニュー(炒飯+レバニラ炒めなど)や、客が好みの味付けやボリュームにカスタマイズできるサービスなど、新たな価値を提供する。
10月1日リニューアルオープンの西五反田店に調理ロボット「I-Robo」(TechMagic社)3台をテスト導入。約60種類ある定番メニューの中から、まずは約20品(炒飯、肉野菜炒め、レバニラ炒め、回鍋肉、麻婆豆腐など)の調理を行う。
内覧会で大阪王将の植月剛社長(イートアンドホールディングス常務取締役)は「あくまで職人をサポートするとの位置づけだが、技術の承継や人材育成、負担軽減によるシニア・女性の雇用、さらには技術の海外展開など、外食産業の課題を数多く解決できる」と語った。
調理ロボットの開発にチャレンジするのは3回目だという。「かつてドラム式やコンベヤー式を試したが、費用対効果に見合う結果が得られなかった」(植月社長)。今回はAIやロボティクスなど最先端技術を駆使するTechMagic社と共同で約半年間にわたり研究。大阪王将で全国に17人しかいない調理1級の鍋さばきを分析し、火加減や混ぜ方などを細かく設定し再現することに成功。調理後、鍋を最適な水量(従来の半分)で自動洗浄できることもポイント。TechMagic社の白木裕士社長は「テクノロジーにサイエンスの要素を掛け合わせ、調理の自動化のみならずおいしさの追求にもこだわった」と話す。
ロボットを活用した新たな価値提供として、出来立ての「炒め物」+「炒め物」のセットメニューを提供したり、客が注文時に指定した好みの味付けや肉・野菜の種類に対応したりできる。
今後について、植月社長は「まずは西五反田店の運用を軌道に乗せ、お客様の反応をみながら他の直営店、FC店への導入を進めていければ」。また人手不足のサポートも見込まれるが、「厨房スタッフを大幅に減らせるわけではない。ただし、熟練技を習得したロボットを導入することで、職人の比率を下げることが可能。アルバイトでも調理作業に対応しやすくなる」と説明した。