家飲みでも1杯目から缶チューハイを楽しむ人が増え、食中シーンでRTDの存在感が高まる。各社とも「食事に合う」をキーワードにした商品開発に力を入れるなか、一歩進んで「食事を引き立てる」を打ち出したのがサッポロビールだ。
9月12日発売「サッポロ クラフトスパイスソーダ」。8種のスパイスを使用し、炭酸の心地よい刺激と無糖の甘くないおいしさを実現。レモンをはじめ果汁系が大半を占める缶チューハイ市場へ、これまでにないスパイスフレーバーを提案する。グループ企業のスパイスメーカーであるヤスマとのタッグにより開発した。
「食中酒ニーズの受け皿として拡大する無糖RTDについて『食事に合う』とする声が多いが、よく聞いてみると『食事の邪魔をしないからいい』という理由で支持している人が多い。邪魔をしないだけでなく、食事がもっとおいしくなる缶チューハイなら、食事時間の満足度をさらに高められると考えた」。29日にメディア向けに開催された「クラフトスパイスソーダ実食体験会」で、ブランドマネージャーの高原務氏が説明した。
「着目したのは果汁ではなくスパイス。今までは『無糖』というとレモンなどのフレーバーが多かったが、ゼロからの足し算で無糖のおいしさを作った」。
食中酒として主流のレモンサワーなどは食事の邪魔をせず味をリセットする「±0」の役割を担っていたのに対し、食事をよりおいしく感じさせるというプラスの価値を提案するクラフトスパイスソーダ。この日の体験会ではとくに味わいを引き立てるメニューとして、エビチリ、そして豚の生姜焼きの試食が提供された。
記者も試してみたところ、これは納得。エビチリの甘辛いソースや生姜の効いたタレの味わいに絶妙なスパイスの風味が添えられることで、料理が持つおいしさがふくらむ。
放映中のCMでも、夫婦役を演じるお笑いコンビのシソンヌが生姜焼きとの好相性を伝える。発売週のSNS投稿は1千400弱とRTDとしては非常に多かったといい、反響に手ごたえをつかんだ。5日から始まるカレーの祭典「下北沢カレーフェスティバル2023」に協賛し、スパイシーなカレーの味わいを引き立てる特徴をアピールする。