日清食品ホールディングスの海外業績が拡大している。特に米州地域は前期22年度の売上収益が1千400億円、前年比60.4%増、コア営業利益が125億円、同324.2%増と飛躍した。トップシェアのブラジルを基盤としながらも、米国では高い需要が継続し、平均36%もの価格改定(22年8月)を実施した後も販売数量は落ちなかった。市場拡大を背景に、25年を目途に同国3か所目となる新工場の建設を予定する。
海外事業は米州、中国、アジア、EMEAの4地域で展開。22年度、グループ全体の業績に占める比率は売上収益で約37%(21年度約30%)、コア営業利益で約46%(同約26%)に高まった。
成長を牽引したのは米国だ。ベーシックな袋麺「TOP RAMEN」シリーズ、カップ麺「CUP NOODLES」シリーズを定番としながらも、近年はプレミアム製品に位置付ける商品群が伸長。
なかでも「CUP NOODLES STIR FRY RICE WITH NOODLES」シリーズ(21年発売)がヒットした。ライスとヌードルのユニークな組み合わせで、中国・日本・韓国・タイにちなんだ4フレーバーをラインアップ。電子レンジ調理で手軽にアジア料理を楽しめる。
既存の炒め麺「CUP NOODLES STIR FRY」シリーズ、Bowlタイプの「Hot&Spicy」シリーズ、ソースにこだわったカップ焼そば「CHOW MEIN」シリーズ、独自のノンフライ麺に上質なスープをあわせた最高峰の「RAOH」シリーズなども展開。
一方、複数回にわたる価格改定(21年5月、22年1月、8月)以降も好調な売れ行きをキープしたことが特筆される。同社の担当者は「米国でインフレが進む中、即席麺は値上げしても相対的な割安感が受け入れられている。コロナ禍を機にユーザーの間口が広がったことも需要が高止まりしている要因では」との見方を示す。
24年3月期は海外事業トータルで売上収益2千625億円、前年比8.0%増、コア営業利益329億円、同10.6%増を計画。うち、米州地域で売上収益1千515億円、同8.2%増、コア営業利益138億円、同10.4%増とさらなる上乗せを想定。特に米国でプレミアム製品の構成比増による利益貢献を見込む。
なお、米国日清は25年を目途に米国中央から南東部に第3工場の建設を目指している。