髙宮社長の談話
キユーピーグループは海外収益性2倍、国内収益性1.5倍の数値目標に沿いながら事業を進めている。短期的にはコスト上昇影響のすべてを吸収できていないが、値上げについてはお客様の理解をいただくことで市場価格に反映できている。
海外についての現状は東南アジアと北米は堅調な成長ぶりをみせている。中国事業はゼロコロナ政策の緩和による新型コロナウイルス感染症急拡大の影響を受け、現地通貨ベースでは上期4%減収となった。一方、第2四半期のみを切り取って評価すると回復基調は明らかであり、増収に転じている。
中国での成長の鍵は市場変化にスピーディーに対応することと、業務用と市販用をバランスよく展開することだ。業務用は日本で培った様々な業態にスピーディーで柔軟に提案できる強みを生かす仕組みができている。上期も春節以降の急速な回復に対応し、売上は伸長した。
一方、中国の家庭では中国式の食卓が依然として多い。当社の認知度に比べ、商品の食卓出現率は低いと言わざるを得ない。そのため、主力の「深煎りごまドレッシング」で中国人に好まれるフレーバーを付与した商品を発売したほか、「油醋汁」という現地の方が慣れ親しんだ味を展開することで食卓出現頻度の向上を図る。同時にEC市場に向けた取り組みについても強化している。
海外トータルではリスク分散できるよう最適バランスを追求しているところだ。今後はインドネシアに調味料の生産ラインを増設し、生産能力を約2.6倍に増強するなどの取り組みも進める。
卵については、鶏卵相場の高騰だけでなく、原料の安定調達もままならなくなった。当社も販売を抑制せざるを得なくなり、事業利益で年間150億円ほどの影響を受けることになった。今冬に鳥インフルエンザが再発生しなかったとしても回復に1年半はかかるとみている。
このような環境に対して、当社では国内調達を分散させること、在庫を多くもつこと、海外調達を強化することで、問題が生じても事業影響を低減できる体制づくりを進めている。中長期的には鶏卵や加工品の価値を高める取り組みを行政や関連業界と連携して進めたい。現在は未曾有の危機といってよい状況だが、ピンチをチャンスと捉えており構造改革をいち早く進める。
国内ドレッシング市場はコロナ禍の3年で大きく変化した。市販用、業務用ともにサラダの出現率はやや低下している。二極化、多極化、選択肢の多様性が進むが、一例をあげると市販用では購入する容量の分散化、健康志向などがあげられる。一方、業務用では同じ味種でも求める価格帯に幅が生じている。さらに、外食需要の回復とともに人手不足も顕在化してきた。
当社では「サラダファースト」をスローガンに、サラダの価値を高め、サラダの登場頻度を増やす取り組みを開始した。市販用では今春に「深煎りごまドレッシング」の260㎖を発売し、同製品の容量展開は完了する。業務用では厨房のソリューションにつながる「具沢山ドレッシング」で手ごたえを感じている。足もとの数字でも回復を実感しており、引き続き様々な取り組みを実践することで事業の成長を図る。