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各段階が適切な価格転嫁を 「農家段階だけ」は有害 食品産業センター 荒川理事長

一般財団法人食品産業センターは21日、報道関係者を対象とした連絡懇談会を開催した。これは農林水産省からの委託による「フードサプライチェーン官民連携プラットフォーム」活動の一環として開催。この中で荒川隆理事長は、「食品産業をめぐる最近の情勢」の中で、6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2023(骨太の方針)」や、「物価高騰対策」「転嫁円滑化の動き」「食料・農業・農村基本法の検証」などについて解説し、意見を述べた。

「骨太の方針」における持続可能な食料供給の確立に関しては、「最近は酪農業が大変で、酪農家の経営安定と食料の安定供給のために、国策で工場建設してはとの声も聞かれる。半導体工場の建設費や異次元の少子化対策費、防衛費に比べれば約200億円で済むわけで、食品産業界の意見がなかなか届きにくいのが現状だ」と感想を述べた。

「物価高騰対策」に関しては、小麦、大豆、トウモロコシの価格は、昨年2月のロシアによるウクライナ侵攻をピークに大変な状況だったが、今年になって2012年水準に戻りつつあるとしながらも、「今後、10年は右肩上がりで推移する」。こうした中で「飲食料品価格は消費者の理解を得ながら、価格転嫁を進めてきた結果、ワニの口は小さくなってきている」。

「転嫁円滑化の動き」に関して、「適正な価格形成というテーマが基本法の中で位置づけられていることは素晴らしい。農林水産政策はとかく一次産業に目が向きがちだが、農産物価格、加工食品の価格を、消費者の理解を得ながらどうやって転嫁していくのかに、正面から向きあっていることはありがたいことだ」と語った。

「食料・農業・農村基本法の検証」では、昨年10月から食料・農業・農村政策審議会に基本法検証部会が設置されて議論を開始。部会には食品産業センターの堀切会長が委員として参加し、5月29日の中間取りまとめに結実。6月2日に農林水産業基盤強化本部において「食料・農業・農村政策の新たな展開方向」が決定した。「今回は中間取りまとめであり、来年、法改正になると思うが、食料の安定供給についてもう少し真剣に議論し、予算も考えてほしい」などと意見を述べた。

新たな基本法では食料・農業・農村・環境の4分野で基本的な施策が位置づけられており、「適正な価格形成」については、付加価値の高い農産物や加工食品を適正価格で消費者に供給する必要があり、そのためには農業生産段階、食品製造、流通、販売段階におけるコストの適切な価格転嫁が必要だ。「加工食品の価格は上がっているが、農家が価格転嫁できないと嘆いている。農産物価格を農家の所得が賄えるような値段で買えと言われれば、加工食品メーカーは自社の経営がおかしくなる。生産段階だけでなく、加工食品メーカー、卸、小売も皆でかかるコストを転嫁し、消費者の理解を求め、一連の食料システムを実現することが大事だ」とし、農家段階だけの転嫁は有害という考えを示した。

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