ガム市場が久しぶりに盛り上がりをみせている。
ガムの需要には待ち時間の暇をつぶす役割があるが、この役割がスマホの普及によって奪われ、さらに街中からごみ箱が減少しているといったことから低迷が続き、コロナ禍の外出自粛で一層の打撃を受けていた。
現在も依然、コロナ前の水準には戻っていないが、アフターコロナに向かってマスク着用緩和が進んだことや、在宅ワークから出社への切り替え、外出機会の増加が追い風になり、直近では前年実績を超えて復調傾向にある。
インテージ市場アナリストの木地利光氏も「とりわけ眠気防止の機能を訴求する商品が好調で、コロナの感染者数が減少する中、外出や出勤の機会も増えており、車の運転中や勤務中などの眠気防止の需要が高まっている」と分析する。
グミとの棲み分けも図れている模様。グミは引き続き好調で二ケタ成長を続け、ガムやタブレットも前年を超えている。
グミは小腹満たしや気分転換の要素があり、ガムは口臭防止や眠気防止、ながら食べなどでニーズが違うことが分かる。
ロッテ担当者も「グミとはスイッチやトレードオフの関係だと思っていたが、ニーズが多少違うと捉え方が変わってきた」と話す。
売上が回復基調であることから、小売の傾向もコロナ禍で縮小した棚が少しずつ戻してきているという。
回復の波に乗るには、トップメーカーのロッテが今期どのような動きをするかにかかっているといっても過言ではない。
3月末に明治の「キシリッシュ」がガムから撤退したことは記憶に新しい。ロッテは7割近くの市場シェアを持ち、続いてモンデリーズ・ジャパンとなるが、この2社でほぼ市場を席捲する。
ロッテは噛むことの重要性の訴求を続けている点が、グミ・タブレッド・ハードキャンディといった競合カテゴリーとの差別化を図る最大のポイントとなる。
さらにお菓子の持つ楽しさを表現することで、市場拡大に弾みをつける可能性もある。