一番大事なのは生果の消費拡大 JA全農とメーカー複数社が産地応援で協力 ニッポンエールプロジェクト協議会設立

国内産地の応援へ、全国農業協同組合連合会(JA全農)と全国農協食品、メーカー5社が商品開発などで足並みを揃える。

今年1月に設立されたニッポンエールプロジェクト協議会(協議会)でJA全農が2021年6月に立ち上げたニッポンエールプロジェクトを推進していく。

ニッポンエールプロジェクトは、ニッポンエールブランドを冠にした加工品の販売により全国の産地を応援することを目的としたもの。

21年6月、JA全農と同プロジェクトの最初の参画企業である伊藤園、ニッポンエールブランドの開発・販売を担う全国農協食品が協力して、宮崎県産日向夏を使用した飲料「宮崎県産日向夏」を展開し、22年には同商品をリニューアル発売した。

今回、伊藤園と全国農協食品に加えて、大関、栗山米菓、不二家、山崎製パンが参画し協議会設立の運びとなった。

協議会は全国の食品メーカーに門戸が開かれる。国産農畜産物の消費拡大や生産振興に関わる企業が集い、同じテーマで商品を開発・販売して共同でPRやキャンペーンを展開することで産地を応援していく。

設立後の第一弾ニッポンエール商品の共通素材には、宮﨑県産日向夏が再び選ばれた。既に発売開始された商品を含め全12品が順次発売される。

JA全農の桑田義文代表理事専務(右)、宮崎県経済農業協同組合連合会の坂下栄次代表理事会長(中央右)、山本未來さん(中央左) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
JA全農の桑田義文代表理事専務(右)、宮崎県経済農業協同組合連合会の坂下栄次代表理事会長(中央右)、山本未來さん(中央左)

ニッポンエール商品のロゴは、JA全農と共同で寛斎スーパースタジオの山本未來さんが手がけた。

宮崎県産日向夏は、宮崎県の全収穫量のうち約40%を加工用として使用。

今回発売する商品はアップサイクル、フードロス削減に取り組むため、形や見た目の問題から市場流通できなくなった日向夏を一部活用。宮崎県産日向夏のさらなる認知度向上に向けたPRやキャンペーンの展開も計画している。

協議会設立の目指すべき効果について、5月23日発表したJA全農の桑田義文代表理事専務は「一番大事なのは、今回12品を発売していくことで宮崎県産日向夏の認知度が上がり、その認知度を背景に生果をたくさん食べていただけるようにすること。そこから生果の販売価格(上昇)につながっていくことが何より大事であると考えている」と説明する。

持続的な取り組みを重視し、全国各地の原材料に順繰り光を当てていく。

「続けていかないと我々のミッションは貫徹できない。春と秋の年2回のペースで行い、第二弾はこの秋に『長野県産りんご三兄弟』(秋映・シナノスイート・シナノゴール)をテーマに取り組みたい」と意欲をのぞかせる。

流通にも協力を呼びかけて集合陳列にも挑む。

「常温商品・冷蔵商品と売場が異なり、今後は冷凍商品もあるかもしれないが、可能な限り常温で置けるものについては集合陳列なども意識しながら、より原材料がインパクトを持ってPRされるように心がけていきたい」と語る。

消費地への輸送距離が長い産地にとって、加工原料として扱われることも支援につながる。

過去実施したニッポンエールプロジェクトの反響について、宮崎県経済農業協同組合連合会の坂下栄次代表理事会長は「宮崎県は、生果を直接送るには、付加価値のあるもの、他の地域とは変わったものでないと勝負ができない。他の地域と同じものを東京に持ってきても陸の孤島から運ぶのは大変。搾った果汁を使っていただくということで過去に実施したところ生産者が大喜びで“よくやってくれた”と応援の言葉をいただいた」と述べる。

なお第一弾12品は以下のとおり。

――「宮崎県産日向夏」(伊藤園・5月22日発売)
――「日向夏ソーダ」(伊藤園・4月3日再発売)
――「日向夏にごり酒」(大関・5月15日発売)
――「瀬戸しお日向夏味」(栗山米菓・5月22日発売)
――「8枚パレッティエ(日向夏チーズケーキ)」(不二家・5月23日発売)
――「7本ポップキャンディ(宮崎県産日向夏)袋」(不二家・5月23日発売)
――「白いコッペパン(宮崎県産日向夏& ホイップクリーム)」(山崎製パン・6月1日発売)
――「ふわっこ 宮崎県産日向夏のクリーム」(山崎製パン・6月1日発売)
――「日向夏グミ」(全国農協食品・発売済み)
――「日向夏キャンデイ」(全国農協食品・発売済み)
――「塩日向夏ゼリー」(全国農協食品・発売済み)
――「日向夏ドライフルーツ」(全国農協食品・発売済み)