サミットは、当期純利益を2022年度の39億円から25年度に83億円へ引き上げるなどの内容を盛り込んだ新中期経営計画の達成に向けてマーチャンダイジング(MD)強化とともに「聖域なきコスト削減」に取り組む。
聖域なきコスト削減は、人件費を対象外とする。その理由は、人件費を削減対象にすると施策が無機的になる恐れがあるためという。
4月20日、方針説明会に臨んだ服部哲也社長は「コストコントロールで人件費はなかなか無視できないが、人件費をコストと考えず投資と捉えてみようと社内で常々話している。コストと捉えてしまうと、どうしても削るものとなり、従業員一人一人の顔や個性が見えなくなる。その結果、なんとなく施策そのものが目的になり無機質になっていく」と指摘する。
逆に、人件費を投資と捉えた場合、施策は有機的になりうるという。
「投資だと考えると、一人一人のアウトプットに目が向く。従業員のスキルアップや所得向上につながる可能性があり、施策も有機的になる。機械でもできることは機械に任せ、『あなたでなければできないこと』をどんどん増やしていきたい」と語る。その一方で、人件費以外のコストは徹底的に削減する。
これには、MD強化策と同様に外部の知見を取り入れながら進める。
MD強化の取り組みでは、4月にMD本部を設置して、コンサルや同業他社の力も活用して商品開発力の強化をスピーディーに進めている。
コストコントロールも同様に「同業他社さまですごくいい取り組みをされているところがたくさんあり、そこへ真摯に学びにいくということをすでに始めている」。
コスト削減に向けたDXの強化も掲げる。「値下げや廃棄ロスの最適化についてAIを使った実験を進めており、秋には各店で結果が出せると思う」と述べる。
コスト削減にも貢献するものとしてプロセスセンター(PC)の活用・新設や物流改革にも取り組む。PCの取り組みとしては、生鮮の一次加工を3年かけて増強していくほか、25年には作業軽減も見込む新PCセンターの稼働を予定している。
物流改革は、マルエツ・ヤオコー・ライフコーポレーションと協調。4社で「首都圏SM物流研究会」を発足し企業間の壁を越えた物流の効率化に向けた研究を進める。
その上で、自社の取り組みとして「生鮮の物流センターもこれからもう1か所新設していく必要がある。グロサリーの物流センターも再編が必要」との考えを明らかにする。