ファミリーマートは今期(2月期)、店舗メディア化を加速していく。
店舗メディア化とは、ファミマ店舗内に大型デジタルサイネージを設置して来店客が楽しめるコンテンツ(番組)と効果測定が可視化できる広告サービスを提供するもの。
運営するのは、伊藤忠商事と2021年9月に設立した子会社のゲート・ワンで、小売業者間の購買データを活用したデジタル広告配信事業と広告代理店業を営む関連会社のデータ・ワンと連携して事業展開している。
今期、デジタルサイネージ設置店舗数を3000店から1万店に拡大していく。
12日、決算説明会に臨んだ細見研介社長は「約2900万もの日本で最大級のリアルの購買データに基づいた広告IDを保有する事業会社データ・ワンとメディア子会社のゲート・ワンとともに、リアルの顧客接点とデータを活用した新しいエコシステムを構築しリテール広告メディア領域での日本のリーディングカンパニーとなることを目指す」と語る。
デジタルサイネージは、42~65インチのスクリーンを3連結した異形ディスプレイで視認性の高いレジ裏やレジ上を中心に設置され、迫力の大画面に番組と広告が15秒間隔で音声を伴って映し出される。
広告枠・番組枠はともに1枠15秒。10分で一巡するため1時間に同じ広告が6回配信される仕組みになっている。
時間帯は、朝・昼・夜・深夜の4つを設け、広告主は朝に缶コーヒーの広告、夜にアルコールの広告といった具合に広告内容にあわせて選ぶことが可能で、加盟店には、広告収入が還元されるほか、広告対象の店舗商品の売上増が見込める。
細見社長は、特定の商品を対象にデジタルサイネージを組み合わせた販促企画を実施したところ同商品の販売が二桁伸長した実例を紹介し「3000店舗でも店舗メディア化(の効果)が実証されたということなので、1万店になればもっと密度の濃い販促企画が実施できると自信を深めている」と述べる。
データ・ワンのCookie(クッキー)を使用しない広告解析ビジネスにも期待を寄せる。
データ・ワンの約2900万の広告IDは、ファミリーマートの購買データを活用してデジタル広告を発信できる対象者が約2900万人存在することを意味し、データ・ワンを組み合わせることで効果の高い広告サービスやソリューションの提供が可能となる。
「データ・ワンとゲート・ワンを連携させながら広告、配信ビジネスを拡大していくということについては非常に期待感が日々高まっている」という。