富士特殊紙業 水性印刷で200m/分を実現 「念願かなった」杉山仁朗会長

「念願かなった。ようやく油性に追いついた」――。そう言って笑顔を見せるのは、食品パッケージ製造・販売の富士特殊紙業(=フジトク、愛知県瀬戸市)の杉山仁朗会長。

同社は1950年創業。1998年に業界に先駆けて水性グラビアインキの実用化を実現したが、「印刷スピードが出ないのが最大のネックだった」(杉山会長)という。油性グラビア印刷が1分間に200m刷れるところ、当時の水性グラビア印刷は150m程度。

以降、印刷機やインクなどの改良・性能アップを重ねた末、長年目標としていた「200m/min」ラインに達した。30年前に水性印刷に踏み切った杉山会長の喜びもひとしおだ。

同社の水性印刷は、油性印刷に比べて二酸化炭素(CO2)の排出量を大きく削減。揮発性有機化合物(VOC)も低減できて労働環境の改善につながることから、最近はメーカー・小売などのユーザーに加え、同業者からの注目度も高まっている。ここにスピードが加わることでさらに生産性を向上。製品価値を高めていく。