スーパーの食品売場には、夕食用の商材を求めて特売商品から売れ、ビジネス街ではワンコインランチに会社員が長蛇の列。珍しい光景ではないが、ここにきて特に目立ってきた。
▼最近の物価高により節約志向に拍車がかかっている。外食総研調べによると、節約志向が高まった人は49・4%と半数に達し、40代以上の女性が顕著だと言う。節約を意識している出費1位は光熱・水道費の48.9%、2位外食費用(40.4%)、3位内食費用(39.0%)。内食、外食にかかわらず食材を含めた食事対応で節約する主婦が上位を占め、食品界にとっては頭の痛い傾向だ。しかも春先以降、食品メーカーは再度の値上げを検討しており、価格改定の壁は厚い。
▼消費には節約するモノとお金をかけるモノとがあり、長引くコロナにより生活者の選択視点が大きく変化。節約するモノが増え、お金をかけるモノが減り、物価高はこの傾向に拍車をかけた。
▼春夏商戦に向けた食品業界の新製品は付加価値商品が定番となっている。節約志向が高まる中で、商品に付加価値をどう再現するか。難しい対応に迫られている。