「レモンサワーがいろいろありすぎて選べない!」。迷える缶チューハイファンに贈るサッポロビールの自信作、その名も「サッポロ ニッポンのシン・レモンサワー」。食中酒の「新・定番」を目指す。
レモン系フレーバーがひしめくRTD市場。サッポロビールでは昨年、グレープフルーツサワー専門ブランド「三ツ星グレフルサワー」で、そんな現状に一石を投じた。変化球に続く今回は、ど真ん中のレモンサワーで直球勝負に挑む。
「レモンサワー選び、皆さん迷っているのでは。この『迷い』に着目した」と語るのは、同社ビール&RTD事業部ブランドマネージャーの黒柳真莉子氏。同社の調べでは、ユーザーの80%以上がレモンサワー選びに迷いがあることが分かったという。
「ここ数年はレモン専門のRTDブランドも相次ぎ登場するなど多様化・細分化が進み、成長は一巡。市場とお客様の意識が成熟するなか、新しいトレンドが求められている」。
レモンサワーの選択理由として上位に挙げられた、飲み飽きない、後味さっぱり、食事に合うといった特徴とともに、手軽に飲めるカジュアルさも重視。求められる価値をバランスよく盛り込み、レモンサワーの本質を追求したのが今回の商品だ。
グループ企業のポッカサッポロフード&ビバレッジでレモン素材・飲料の開発に携わるレモンのプロ「レモンマイスター」と開発に取り組んだ。過去にも両社の協業はあったものの、商品の中味をゼロから共同開発するのは今回が初めて。プロの知見で見いだした素材を使い、絶妙な中身設計を施した。生果よりも爽やかなレモンのおいしさで、飲み進めるほどにおいしくなる味わいを目指した。
成長を続けたRTD市場も、昨年は15年ぶりに縮小。だが同社では独自戦略が奏功し、販売数量は前年比103%と続伸。26年にかけての酒税改正による新ジャンルからの流入も見込まれ、市場は再び緩やかな成長軌道に回帰するとみる。
「(新商品は)既存カテゴリーでいえばレモンサワー。ただしアプローチは『新・定番食中酒』。最もポピュラーなフレーバーであるレモンで、お客様の課題を解決する商品として開発した」(ビール&RTD事業部長 武内亮人氏)。
ビール類を製造していた仙台工場を今年からRTD専門に転換するなど製造体制を強化し、中長期的に新提案を継続する。秋以降に発売する第2弾もすでに開発がスタート。既存品とのカニバリを恐れずに、トライ&エラーを重ねる考えだ。
「ニッポンのシン・レモンサワー」(350㎖、税別参考小売価格153円/500㎖、208円)は3月22日全国発売。今年の販売目標は176万ケース。RTD全体で前年比118%の計画と、市場を上回る躍進を狙う。