躍進する冷凍食品 今後は

昨年の冷凍食品業界は、新しい世界の扉を開いたような展開だった。巣ごもり需要が画期となり夕食のメインディッシュを張れるような大手メーカーの商品から、さらに有名飲食店や産地直送品までがフローズンで流通するようになった。

▼小売の売場も拡大し、品揃えも多肢にわたる。冷食専用の店舗展開は大手資本ばかりでなくローカルチェーンも手掛け始め、グルメ系の商品を集めて10台ほどの冷凍自販機を揃える「次世代型自販機モール」が24時間稼働する光景もある。

▼食品の加工・流通が今ほど発達する以前の昭和30年代までは切り干し大根、ちりめんじゃこ、ひじきなど野菜や魚介類、海藻類を乾燥させて長期保存を可能にした乾物が食卓の主役だった。乾麺もだが、こちらは即席麺、カップ麺に姿を変え今も隆盛を誇っている。

▼ただ、これだけ冷凍技術が進歩し、網の目のようにフローズン物流が広がればどうだろう。話題のラーメン店や職人の味を再現するカップ麺は危なそうだ。そうなると売場からは華やかさが消え、今の隆盛に黄信号が灯ることも考えられる。