コカ・コーラが独自電子マネー導入 より柔軟な販促で自販機での購買を促進  小銭チャージやEC・小売店・飲食店への広がりも視野

 日本コカ・コーラはコカ・コーラ公式アプリ「Coke ON(コークオン)」の新機能として独自の電子マネー「Coke ON Wallet(コークオン ウォレット)」を導入する。

 これにより、かねてから展開しているキャッシュレス決済機能「Coke ON Pay」が拡充される。

 クレジットカードや「LINE Pay」「PayPay」「楽天ペイ」「au PAY」「d払い」「メルペイ」「Apple Pay」の既存決済サービスに「コークオン ウォレット」が追加され、11月下旬をめどに88万台の自販機のうち「Coke ON Pay」対応自販機42万台で利用可能となる。

 特徴の1つはポイント機能を組み込んだ点にある。チャージとキャンペーンを通じて「Coke ONポイント」と称するポイントが付与される。

 10日発表した日本コカ・コーラの永井宏明ベンディング事業部シニアマネジャーは「アプリ内でスタンプを15個ためて1本分のドリンクチケットを獲得できる従来からの『Coke ON』のインセンティブツールに『Coke ONポイント』が新たに仲間入りする」と語る。

 チャージは、登録した銀行口座から最低200円から1円単位でチャージができ、1000円以上チャージすることでチャージ金額の5%がポイントとして還元される。

 その運営にあたってはインフキュリオンが参画。企業独自のPayサービスに必要な監督官庁の認可取得やチャージ残高に関する供託金の管理業務をインフキュリオンが担う。

 インフォキュリオンは、これまで大手コンビニや大手スーパーで「コークオン ウォレット」構築のベースとなるスマートフォン決済プラットフォーム「ウォレットステーション」を提供している。

 新たに構築した「コークオン ウォレット」ならではの特徴について、インフキュリオンの藤岡茂一BaaSプラットフォーム事業部マネジャーは「全国40万台以上の自販機で24時間発生する決済処理に耐えうるよう改めて負荷性能を強化した」と胸を張る。

 「ウォレットステーション」は「Bank Pay(バンクペイ)」と外部連携していることから「コークオン ウォレット」では100行以上の銀行口座からリアルタイムでの現金チャージが可能となる。

 「ウォレットステーション」導入の当面の狙いは自販機での購買促進にあり、ユーザーの特性に合わせた柔軟なプロモーションを可能とする。
 「購買離反者のつなぎとめや新規ユーザーの育成に向けて“ユーザーAには2ポイントを付与”“ユーザーBには20ポイントを付与”といった具合にお客様に合わせた柔軟なプロモーションや異なる価格戦略も今後導入していく」(日本コカ・永井氏)。

 自販機での現金チャージやEC・小売店・飲食店への広がりも視野に入れる。

 自販機での現金チャージについては、23年内に「Coke ON」対応自販機で開始予定。自販機で購入した際の釣銭を「コークオン ウォレット」で支払うことや小銭でのチャージも計画している。
 「“小銭を持ち歩きたくない”ニーズを踏まえて自販機上の小銭をデジタルで扱えるようにしていきたい。かねてからそうしたいと思っていて、それに対応できる自販機が全体の半数まで増え、アプリのダウンロード数も4000万を突破したことでようやく実現できる。『Coke ON』によってキャッシュレス比率は50%以上になるが、まだ30~40%が現金でキャッシュレスを推進していく」と述べる。

 チャネルの広がりについては「当面は自販機の活性化にフォーカスしていきたいが、計画としては、自社のD2Cほか、飲食店様やスーパー様などコカ・コーラ製品をお取り扱いいただいている加盟店様からご要望をいただければ、そのようなところでも利用できるように前向きに検討していく」と説明する。

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