物価高・電気代高騰で生活防衛意識が高まるも旅行需要が回復 「イオン ブラックフライデー」環境変化受け百貨店品質にも挑む

 イオンリテールは18日から、イオン・イオンスタイルの約350店舗とオンラインショップで最大10日間、「イオン ブラックフライデー」を開催する。

 物価高や電気代高騰で生活防衛意識が高まる一方、国内旅行需要が回復傾向にあるといった環境変化に対応して、お値打ち企画商品を多数取り揃えたほか、これまで手薄であった百貨店品質の訴求やZ世代の利用拡大にも挑む。売上目標は前年比114%。

 西垣幸則デジタル・営業推進担当 取締役常務執行役員は1日、イオン東久留米で開催された「イオン ブラックフライデー」概要説明会・予約販売展示品撮影会で「消費者の生活防衛意識はますます高まりを見せる反面、クリスマスや年末年始を迎えるにあたり“憧れの商品を手に入れたい”という消費マインドの変化もあり消費の二極化への対応が求められている」と語る。

 二極化の中でも今年は高額商品が加速するとみている。

 「昨今の百貨店の状況からも明らかで、この上期についても百貨店では高額商品が売れている。これは我々GMSが欠けている部分で、百貨店の領域も取り込んでいかないと全体が上がっていかない」との見方を示す。

 高まる国内旅行需要にも着目し、外出に最適なアウターやアウトドア用パーカー、キャリーケースなども用意する。
 「今年のお盆やシルバーウィーク最終日の航空便の国内旅客数はコロナ禍において最多とも言われており国内の移動需要はますます拡大傾向にあると思っている。10月11日から全国旅行支援の後押しもありさらなる伸長を見込んでいる」。
 
 イオンリテールもシルバーウィークの9月はキャリーケースの販売が好調。「前年の2~3倍売れた」という。

 年末には国内旅行に加えて帰省需要も見込む。「おせちの予約も好調に推移している。“動き”に対しての企画を増やしているのが昨年との大きな違い」と述べる。
昨年と異なる点に節電も挙げる。

 電気代が高騰する中「夏よりも冬の節電はお客様にとって深刻な問題」と捉え、電気代削減をサポートする寝具・衣料品・省エネ家電をお値打ち価格で取り揃える。

 食品の値上げが続く中、食品については国産品とイオンならではの直輸入でお値打ち価格を創出。「円安が進む今こそ国産品、そして直輸入品の価値を感じていただきたい」という。

 国産品の一例は「和歌山県産他 市場活〆真鯛(養殖)お造り・刺身用」(10切・税別698円)、「国産黒毛和牛かたローススライス(解凍)」(100g当り税別598円)。

 直輸入品には「バリラジャパン スパゲッティ」(税別248円)ほかワインが挙げられる。
 そのほか、ご当地飯やご当地スイーツなど“地域を盛り上げる”応援・特別企画を地域ごとに実施する。

 将来の種まきとして、Z世代の利用拡大にも挑む。
 「既存顧客は優良顧客ではあるが、そのターゲットばかりを意識していると成長はなく、今まで取りきれていなかったところにチャレンジしていかないと成長はない」との考えのもと、人気アニメ「名探偵コナン 犯人の犯沢さん」とのコラボ企画を実施するほかECを強化していく。

 オンラインショップ「イオンスタイルオンライン」では限定企画品を2日から予約販売するなどして前年比2.3倍の売上げを目指していく。
 「店舗出荷型のオンラインショップをで、昨年は約2倍のご注文をいただきパンクの局面があった。今年はサーバーの増強に加えて、出荷店舗数を昨年の3店舗から9店舗に拡大して出荷能力を高めて早くお届けできる体制になっている」と説明する。