新ビル機能活用しビジネス創出 カゴメ名古屋支店 河原丈二支店長

“値上げ乗り越える需要喚起策を

約2年をかけて建て替えを進めていたカゴメの名古屋本社ビルが今夏完成した。カゴメ発祥の地である名古屋・中部エリアは、同社において最重点地域の一つであり、名古屋支店はその最前線に立つ。

同支店の今上期(1-6月)売上実績は、前年を若干割り込んだ。4月にケチャップ、トマトソース、ソースといった主力調味料の価格改定を実施。2月、3月には需要の前倒しで数字が伸びた半面、値上げ後の反動減が響いた。

それでも第3四半期は前年を超える進捗で、回復傾向が顕著。「価格改定に際し、需要喚起策もしっかり展開できたことが奏功している」(河原丈二名古屋支店長、以下同)という。

飲料では「野菜一日これ一本」や「野菜生活100」の季節限定品が引き続き牽引。「植物性乳酸菌ラブレ」は二ケタ伸長と好調だ。「ラブレはもともとリピート率が高い商品だが、トライアルが低いのが課題だった。(通常3本のところ)4本セット企画を定期的に行うことでトライアルの獲得が進み、その後の良い循環につながっている」

また、「このエリアの特徴として①お客様のまとめ買いが多い②地場流通の皆さんが新商品の立ち上げ、スタートダッシュが伝統的に強いということがある。われわれもエリア特性に合った営業活動をしてきたが、それがより数字に結び付いた」

業務用冷凍野菜も、自然解凍できるグリル野菜の新シリーズを発売。展示会などでも高評価を受けた。

今秋冬展開については、まず野菜飲料を対象に、人気漫画・アニメ「名探偵コナン」とのタイアップキャンペーンを大々的に実施しカテゴリー活性化を図る。パッケージに登場キャラクターをデザインするほか、レシートキャンペーンを展開。第2弾では30本入りの特別限定セットも発売する。ここに先述の通り、当該エリアでの立ち上がりの強さを発揮して大きな売上を作りたい考えだ。

トマトの調味料は、メニュー単価が経済的なナポリタンやオムライス、ハンバーグなどの家庭料理を訴求。あわせて「ハローキティ」を起用した販促を今春に続き仕掛けていく。「消費者の財布の紐は固くなっており、無駄なものを買わなくなってくる。値上げを乗り越える需要喚起策が必要だろう」

一方、業務用では「こちらも価格改定が相次いでいるが、それ以上に調達そのものが課題になってきた。当社は原料に応じて世界規模の調達も行っており安定供給という視点からも商談に耳を傾けていただいている」

名古屋・栄のシンボルとして、よりパワーアップした新カゴメビル。「得意先さまからも好評で、ぜひ訪ねてみたいとのお声もたくさんいただいている。それを契機にここ(新ビル)での商談も増えた。近い将来には一般消費者の皆さまをお呼びしてリアルでのイベント、情報発信などもやっていきたいと思っている」”

 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)