広がる知財権 活用で安定成長へ 既存品の特徴が保護対象にも

三枝国際特許事務所 代表弁理士・所長 林雅仁氏
三枝国際特許事務所 代表弁理士・所長 林雅仁氏

食品産業は、原材料高騰などのコスト増加で、かつての大量生産大量消費のビジネスモデルが崩れており、それでもコモディティ化する市場からいかに商品価値を創出できるかが問われている。それには「知的財産権」(知財権)を駆使して、自社のブランドや商品を保護することが重要だ。その知財権はここ数年で保護対象が拡大しており、既存商品にあてはまる可能性もある。また、最近は知財がSDGsの要素を満たした開発かどうかも重要になっている。

知的財産の産業財産権は、製造方法などの発明を保護する「特許権」、物品の構造・形状(開け閉めしやすいフタなど)の「実用新案権」、デザインの「意匠権」、商品やブランド名とそのロゴなどの「商標権」があり、これらは客観的内容が同じものに対して排他的に支配できる「絶対的独占権」と言われている。

産業財産権制度は「新しい技術・デザイン・ネーミングなどについて独占権を与え、模倣防止を保護し、研究開発へのインセンティブを付与したり、取引上の信用の維持などによって、産業の発展を図ることを目的」(特許庁)にした制度である。

こういった知財権も、時代の流れとともに柔軟に進化し、「商標権」は、以前は保護対象が文字や図形、立体的形状などに限られていたが、15年4月から「新商標」として定義が拡大。「動き」「ホログラム」「音」「位置」「色彩」なども商標法の保護対象として認められることになった。

また、「意匠法」も20年4月から改正され、これまでは「物品」に限られていたが、新たに「画像」「建築物」「内装」のデザインに保護対象が拡充した。

知財とSDGs、知財権を活用した成長戦略など、食品界にも強みを持つ三枝国際特許事務所、ユニアス国際特許事務所で活躍する弁理士に話を聞いた。

知的財産もSDGs 三枝国際特許事務所 代表弁理士・所長 林雅仁氏

知財戦略においても、「SDGs」の要素が重視されている。AIを用いたSDGs関連技術の見える化で企業の特許を数値化し、企業をランク付けする動きがあり、その数値は投資や優秀人財の獲得にもつながっていく。食品業界では、官民あげて輸出強化に取り組んでおり、輸出を含めた「海外戦略」を執るうえで、「知的財産権」による保護は非常に重要。知財で保護しなければ、一瞬のうちに模倣製品が出てくるからだ。そこで、特許は90か国以上、商標はほぼ全世界というグローバルな出願実績を有する三枝国際特許事務所の林雅仁所長に、「知財とSDGs」「輸出・海外戦略と知財」のテーマを中心に、各重要事項などを聞いた。

――知的財産分野における最近のトレンドは。

林 「SDGs」は周知のとおりで、多くの企業がSDGsに沿った目標を掲げ、積極的に行動を起こしている。

そのSDGsは知的財産分野にも大きく関連している。近年、特許出願の明細書の中に、SDGs関連の内容がどれほど盛り込まれているかをスコア化し、ランク付けする動きが出てきている。企業別に数値で表され、国別や企業別でランク化されている。それが企業の評価となり、投資対象の一つにもなっている。

つまり、企業の新たな技術開発は、新たな市場価値を創出するだけでなく、企業のSDGsに対する取り組みの本気度を表すもので、それにより企業が総合評価されるようになってきている。

こういったSDGsへの取り組みは、大手企業を中心にイメージアップ戦略が先行しているようだが、意識し続けることでより優れた持続的に発展可能な技術の創成につながっていくだろう。また、中小企業においても、良い人材確保などにつながっていくと思う。

――知財とSDGsの関連づけはいつ頃から。

林 SDGsは、2015年の国連サミットで採択されたものだが、知財による持続的な環境保護へのアプローチは以前からあった。当所が関わった案件では、空調機器の冷媒に関する特許がある。代替フロンなどが世界的に問題になり始めた時期から、温暖化を抑制できる冷媒技術は世界的に進化して今に至る。まさに世界規模のSDGsの達成である。特許明細書に記載することで、自社の技術力や環境への貢献度をアピールできる。企業の開発力やイメージを向上させた良い事例といえる。このような例はほかにも多数ある。

――特許制度とは。

林 特許制度は、基本的に発明を保護するものだが、同時に第三者も一定条件のもとでその発明を利用できるようにして、結果として日本の産業を発展させようとするものだ。これが特許制度の根幹である。

発明は、特許出願することにより出願から20年を限度として特許権という独占排他権で保護される。開発者にとって、投資回収、事業拡大、新たな開発などへの原動力となる。

一方、1年半後には特許が公開されるため第三者は早い段階で発明の内容を知ることができる。それを元に改良を加えた新たな発明が生まれ、特許出願される。さらにその特許が公開され、より改良された発明が生まれる。出願から20年経てば特許の保護は終了し、誰でも使えるようになる。これが繰り返されて、技術が進歩し日本の産業が発展していく。これが特許制度のしくみである。

日本の特許法は第一条に、発明の保護と利用で日本の産業を発展させることを目的とすることが明記されている。外国の特許制度も基本的には同様の趣旨である。

――あえて特許にせず秘匿する場合は。

林 自社製品の根幹をなし、いったん公になると模倣されやすい技術は、ノウハウなどの形で秘匿して管理する場合がある。その場合、企業はその技術を厳重に秘密管理することが求められる。

食品分野では、成分などの分析技術も日進月歩しているので、現在は秘匿されていても市場でリバースエンジニアリングされてしまう可能性はある。技術を秘匿するか特許のように公にするかは、その技術の特性と事業活動を考慮して、最終的には企業の経営判断に委ねられる。

――SDGs関連技術を広く普及させる手段。

林 特許は独占排他権であるため特許権者以外の利用は制限される。しかし、SDGs達成に貢献する技術は、本来広く世界で利用されてこそ意味がある。その技術普及の観点から、優れた技術に関する特許を一定の条件のもと無償で開放する動きもある。例えば、トヨタの燃料電池に関する特許のように。

「海外事業=知的財産保護」の認識を 輸出・海外進出を支援

――海外での出願は。

林 特許は、基本的にその国の産業と密接に関連するため、国ごとに特許制度が存在し特許権が発生する。出願にあたり、各国の知財法制の特徴をしっかり理解して出願することが重要だ。現在、米国、日本、欧州、韓国、中国が世界の5大特許庁である。

――貴所の強みは。

林 当所は、創業75年以上にわたり培った知的財産のノウハウがある。また、海外への特許出願実績が豊富であることは強みの一つである。特許は90か国以上、商標ではほぼ全世界への出願実績がある。

また、海外100か国以上の弁理士、弁護士と業務提携関係にあり、日本および海外の知的財産に関して、出願から権利取得、権利の利活用、紛争の解決などを協力しながら進めている。

海外の提携事務所数は延べ400にのぼり、主要国(米国、欧州、中国など)をはじめ、東南アジア、インド、中近東、南アメリカ、アフリカなどの知財制度について常に最新情報をアップデートしている。有用な情報は、グローバルな出願戦略を支援すべく、クライアントに発信し好評価をいただいている。

特許として取り扱う発明の技術分野も幅広く、化学、材料、バイオテクノロジー、医薬品、食品、化粧品、産業機械、建築、土木、電気、電子、情報処理、インターネット・デジタル関連などあらゆる分野をカバーしている。

――食品業界は輸出強化の動きがある。

林 日本の食文化は世界から注目されており、その潜在能力は無限である。海外展開する際には、適切な知財保護が受けられるよう留意することが重要だ。

まずは輸出先の国の知財制度を確認すること。特許だけでなく、パッケージの意匠、商標なども知的財産権での保護が必要だ。パッケージが同じで中身が粗悪品といった模倣品が出回る可能性があり、真正商品のイメージ悪化など大きな被害が想定される。

農作物では品種の管理・保護も重要だ。最近のニュースでは、日本で14年かけて開発した高品質のぶどうが、知らぬ間に他国に持ち出され流通してしまったケースがある。非常に残念である。開発努力が水泡に帰さないよう、海外でも十分な知財対策をとることが重要だ。

――輸出や外国との取引の際の注意点は。

林 新しい製品を海外で展開するとき、売れてから権利化しては遅い。海外展開すると決めた時点で、包括的に権利取得に動くことが必要となる。

知財戦略は、商売を行う上での必要な自社インフラの一つ。製品の販売に注力するのと同じくらい重要なインフラと捉えるべき。そうでないと、何年もかけて開発した製品が一瞬のうちに真似され、救済不可能となる。

まずは知財制度について各国の情報を収集すること。特許や商標のような基本的な知財制度が整っているか。権利を取らなくても、日本の「不正競争防止法」のような不公正取引を規制する制度があるかなど、様々な観点からの確認が重要である。

スタートは外国知財法務に長けた専門家へ相談することが望ましい。基本的に海外の専門家と協力して対応することになるため、コミュニケーション能力や専門性を備えた国際特許事務所や法律事務所に相談してみるとよいと思う。

――中小企業の対応は。

林 大手企業では知的財産の専門部署があるが、中小企業では必ずしも専門部署が整っていないことが多い。前述したが、日本で特許を取得しても、外国にまでは及ばないため、各国での特許取得が必要になる。そうなると、出願費用も大きい。海外展開する際、費用対効果の点から、知財にまで配慮が行き届かないのが実情かもしれない。

日本の特許庁では、中小企業向けに補助金を用意している。特許庁やジェトロが海外進出支援のパンフレットなどを作成しており、模倣被害の回避なども説明している。これらを活用しない手はない。

食品、農水産物など、多大な費用と労力をかけて開発された製品、ひいては日本ブランドの製品を適切に守るため、知的財産の管理に注力することをお勧めしたい。

ユニアス国際特許事務所 所長・弁理士 梶崎弘一氏 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
ユニアス国際特許事務所 所長・弁理士 梶崎弘一氏

食品業界に「知財権ミックス戦略」提案 ユニアス国際特許事務所に聞く

ユニアス国際特許事務所は、明細書などの書類の作成をすべて有資格者である「弁理士」のみで行っているのが大きな特色で、いわゆる特許技術者と呼ばれる明細書作成補助者は在籍しておらず、各弁理士が責任をもって質の高い業務にあたっている。食品界に向けてはここ数年、「特許権」「意匠権」「商標権」の3つの権利を組み合わせて総合的に商品やブランドを守る「知財権ミックス戦略」を提案し、好評を得ている。そういった中、今年は特にデザインの重要性を訴求している。梶崎弘一所長・弁理士に日本のデザインに対する現状と意識、世界との違い、デザイン経営の重要性などを聞き、石川克司弁理士にデザインの実例、意匠法の詳細と陳列の仕方が意匠となる実例を、春名真徳弁理士に知財権ミックス戦略、チキンラーメンの事例から長期視点でのブランド戦略の重要性などについて話を聞いた。

デザインは経営資源 所長・弁理士 梶崎弘一氏

――日本のデザインに対する意識と現状について。

梶崎 商品の特徴的なデザインを保護する「意匠法」が2020年に改正・施行された。国が日本の産業競争力を高める目的の中で、特にデザインが注目された。

その当時に議論された日本の現状は、デジカメや液晶テレビなどの家電製品を例に、新興国企業の市場参入などで、日本が誇ってきた製品の品質や高機能のみでは優位性を保てなくなった実情で、欧州や米国の上場製造企業と比較し、日本の製造業の低収益性が課題に上がった。

そこで、機能・品質のコモディティ化が進む中で収益向上を図るためには、機能・品質以外の要素でも価値を創造することが重要となった。

――その要素とは。

梶崎 デザインによる価値創造であり、アップルやダイソンなどの欧米企業は、経営層がデザインを重視している。

実はここに日本と欧米企業との差がある。これは、経営層がデザインの重要性を認識しているかどうかが大きく違う。国の機関のあるデータでは、欧米で市場開拓に成功した企業を対象としたその要因についてのアンケートで、技術力や高機能は30~50%ほどと最も高い割合を占めるが、デザイン力を理由に挙げるのは、わずか数%しかない。つまり、日本の企業の多くが、デザインが市場開拓力・販売力を強く左右する要因として認識していない実態がある。

図1 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
図1

実際、株価にも影響している。企業のデザインと成長の相関の調査で、経営層のデザインへの関わりなどを示す米国企業の調査では、図1に示す通り、デザインマネジメントを実践している企業は、ほかの一般的な500社の企業よりも、株価が2倍強高くなっているのが実情だ。

――日本のデザイン力は。

日本パッケージデザイン大賞を受賞した「サントリー緑茶 伊右衛門」(日本パッケージデザイン協会HPより) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
日本パッケージデザイン大賞を受賞した「サントリー緑茶 伊右衛門」(日本パッケージデザイン協会HPより)

梶崎 けっして低いわけではない。マツダのMX―5が16年のワールド・カー・デザイン・オブザイヤーを受賞している。むしろ外国人がクリエイティブだと感じる国に日本を挙げる外国は多く、高い評価を得ている調査報告もある。今後、技術力とデザイン経営のシナジーが発揮されれば、さらなる企業価値向上につながると思う。

――食品界では。

梶崎 2年に一度のパッケージデザイン大賞の大賞受賞企業は、23年は化粧品メーカーだが、21年は「サントリー緑茶 伊右衛門」が受賞している。「淹れたてのような緑、味、香り」(現行品)と称する独特のお茶の色などのコンセプトが商品やパッケージデザインに表れていると思う。

――意匠法改正の内容。

梶崎 日本の産業競争力を上げるため、20年の改正・施行以降、特許庁も「デザイン経営の推進」を打ち出している。主な変更内容は、まず「保護対象の拡充」で、これまでの保護対象は主に「物品」に限られたが、新たに「画像」「建築物」「内装」のデザインも加わった。例えばオフィスの内装も意匠で保護できる。また、「存続期間」が20年から25年に延長されるなど、保護の内容が大きく拡充されている。

デザインは見た目なので、すぐに模倣されてしまう。弊所が推進する「特許権」「意匠権」「商標権」とデザインを経営レベルで取り組むことを推進する「知財権ミックス戦略」で各企業のデザインを守り、成長のお手伝いをさせていただく所存だ。

――貴所の強みは。

梶崎 クライアント対応・書類作成はすべて有資格者の弁理士のみで行っており、いわゆる明細書作成補助者は在籍していないのが弊所の最大の特色。また、開設当時から裁判例研究を行い、最新の裁判例を実務に生かすほか、各専門分野に精通する弁理士が多数在籍しているので、どのような技術分野の案件でも、発明者と対等に技術的な議論を行い、発明をサポートできる環境を構築している。食品界でも大手企業をはじめ多くの企業に知財戦略をご提案させていただいている。そのほか、米国弁護士、中国弁理士を擁し、海外での知財権利化もサポートしている。

また、食品分野では、機能性表示食品のガイドライン改正に合わせて知財情報発信を続けている。商品コンセプトに合わせて、知財権ミックス戦略の個別提案など、好評をいただいている。

今後も最高の知的サービスを提供し、具体的にはデザインを経営レベルで考えていただく提言を含めた「知財権ミックス戦略」で各社の商品を守り、さらなる成長に貢献していく所存だ。

弁理士 石川克司氏 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
弁理士 石川克司氏

ブランド資源再点検で次の成長 陳列の仕方に意匠権適用 弁理士 石川克司氏

20年の意匠法改正で、保護対象が「物品」のみから、「画像」「建築物」「内装」に広がった。内装意匠を活用した例では、化粧品のポーラのブランド「B.A」の商品陳列方法が意匠権で保護されている。モデルのようなたたずまいを彷彿させるデザインだが、商品陳列時の向きや並べ方などを「化粧品店の内装」として、権利化している好例といえる。

この例をはじめ、意匠の保護対象拡大は、まだまだ知らない方が多いと思う。陳列では、当然食品分野も大きく関係するので、今後の参考になると思う。

15年4月から施行された新商標もある。これは「動き」「ホログラム」「色彩のみ」「音」「位置」の5つへ権利化が拡大している。

例えば「位置商標」では、キユーピーマヨネーズの「赤い網目模様」や日清カップヌードルの通称「キャタピラ模様」などがある。これらはブランド名が入っていなかったとしてもその商品と認識できることが認められている。つまり、位置商標はロングセラー商品が基本対象になる。

食品・飲料には、こういったロングセラー商品がたくさんあるが、新商品も含めて権利化していない場合が多いと思う。今後グローバル化が一層進めば、簡単に真似されてしまう。

そこで、当所が提案するのは、知財を活用した長期のブランド戦略だ。商品のデザインやアイデアは経営資源であることを訴求し、今こそブランド資産であるロゴ、色彩、キャッチフレーズなどの再点検をまずは行いたい。

そして、ブランド資産を商標登録し、ブランド資産の見える化を実施することで、ブランドを守っていくこと、またそのブランド資産を活用することで、高級路線へも展開できる。

事例では、高級版ポッキーの「バトンドール」や、カルピスの「発酵カルピスパーラー」などが、百貨店などに向けた新たな需要を切り開いている。また、リブランディングでは、ポテトチップスでコモディティ化からの脱却を図った湖池屋がある。六角形の新生湖池屋ロゴマークは商標登録され、業界で注目されるところになっていたと思う。

ポイントはコモディティ化からの脱却にあると考えている。新商標や保護対象が広がった知財権も活用し、長期的視点のブランド戦略をご提案していきたい。

弁理士 春名真徳氏 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
弁理士 春名真徳氏

知財権ミックスでブランド保護 リニューアル時も知財活用を 弁理士 春名真徳氏

「特許権」「意匠権」「商標権」の3つの権利を組み合わせて総合的に商品やブランドを守る「知財権ミックス戦略」を提案してきた。3つの権利は、それぞれ存続期間が異なり、守れる対象物が違う。

特に食品については大掛かりな装置ではなく、消費者が手に取りやすい商品が多いことから、見た目や手触りなどを意匠権で保護することの重要さを、直近では特に訴求している。

注力している新商品では、その技術面を「特許権」で、新デザインを「意匠権」で権利を保持して一定期間市場を独占することで、会社独自の「商品力」「デザイン力」「技術力」を市場にアピールしていくことができる。

「ブランド育成」には、まずはデザイン的な「意匠権」、商品名やキャッチフレーズなど比較的権利化が認められやすい「商標権」で保護し、競合他社の追随や模倣からブランドを守りたい。そしてブランド力を醸成させていき、リニューアル時においても変更ポイントを保護し、ロングセラー商品に昇華させていく長期視点のブランド戦略をご提案させていただく。

例えば、ロングセラー商品の「日清チキンラーメン」の「Wたまごポケット」は、意匠権と特許権を取得しており、さらに22年3月、パッケージの象徴であるセピア色、白色、オレンジ色のストライプ基調の配色が「色彩商標」に登録された。つまり、ブランド名や商品名がなくとも、色彩だけで同商品であると認識できることが認められたということだ。この色彩商標は非常に狭き門で、これまで登録に至った事例はたった1.6%。出願して却下や無効になった例は9割を超えている。

(日清食品ホールディングスHPより 色彩のみからなる商標・第6534071号) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
(日清食品ホールディングスHPより 色彩のみからなる商標・第6534071号)

色彩商標や位置商標は、主にロングセラー商品が対象となる。そこに至るまでに様々な知財権ミックスでブランドを守り、長く消費者に親しまれる商品に醸成していく。ここを目指してオンリーワン商品の育成に貢献するとともに、食品分野での商品コンセプトの権利化、特にデザイン経営の重要性を伝えていきたい。

EU農産品  - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)