播州乾麺 世界へ発信 伝統守り、新しい切り口も

日本有数の乾麺生産地である「播州」を海外の人に知ってもらい、「播州ブランド」による乾麺の輸出拡大を目指し、昨年5月に播州乾麺輸出拡大協議会が設立された。同協議会は6月22日から24日まで東京ビッグサイトで開かれた第6回「“日本の食品”輸出EXPO」に出展し、各国から来場した食品バイヤーや食品輸出商などに播州乾麺の魅力をアピールした。そこで井上位一郎会長(東亜食品工業社長)は、輸出への想いを次のように語った。

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海外アピールへアニメキャラ活用も

協議会は、うどん、そば、そうめん、ラーメン、そして「揖保乃糸手延そうめん」などの麺を海外の人にも知ってもらい、食べてもらおうと昨年5月に設立された。昨年、大阪で開催された「輸出EXPO・大阪」に出展し、今年は「FOODEX JAPAN」にも出展した。

海外向け商品は、日本で販売している商品をそのまま販売するのは難しい。宗教上の問題もある。そうめんを短くしてサラダにも使えるように工夫したり、お箸が使えない方のために平たいうどんに切れ目を入れフォークでも食べられるような商品も展示している。各社は開発力で競い合っている。同じ小間に各社の商品が並んでいるが、販売では各社が競争している。

会社ごとに、こういう国にはこういう商品を食べてほしいと考え、新しいアイデアを取り入れ、パッケージにも工夫しながらオリジナリティーのあるこだわり商品を展示している。協議会には協調する部分と競争する部分がある。本来は地元の同業者はライバルだが、海外輸出の目的では考えが一致している。

井上位一郎会長(播州乾麺輸出拡大協議会) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
井上位一郎会長(播州乾麺輸出拡大協議会)

国内では人口減少などの影響により、将来的な売上の伸びは期待できない。伸ばそうとすると価格競争になりかねない。原料が高騰する中で価格競争だけは避けなければならない。海外輸出の方が伸ばせる可能性がある。海外では日本食ブームが起こり、日本食への関心が高まっている。輸出においては政府や行政の支援もある。今こそ世界に目を広げなければならない。播州は播磨地方の良質の小麦、揖保川の清流、赤穂の塩など原料に恵まれ、気候も乾麺づくりに適していたことから乾麺づくりが盛んだ。いいものを作り、どうやって食べてもらうかを考えながらビジネスにしていかなければならない。世界はまだまだ人口が増え続けている。

麺の小麦粉は大半が輸入。国内で販売すると原料高が価格上昇につながってしまう。原料が上がっても円安で儲けを出せば、下がる方に左右する。つまり輸出すれば原料高が吸収できる。国内食品は値上げで非常に厳しい時期だが、輸出にはその心配はない。

各社は代々、事業を引き継ぎながら商売を継承している。そのため産地の価値を高め、次の世代に継承することはわれわれの責務だ。日本を代表する播州の乾麺を世界中の人に食べてもらいたいという雄大な希望を持っている。

播州乾麺の美味しさを海外に広めようと、日本のアニメキャラを活用して「播州家」の4人きょうだいという設定で、そうめん、うどん、そば、ラーメンを播州シスターズとして命名し、販促用のキャラクターとして活躍してもらっている。海外の人に播州乾麺に興味を持ってもらうためのきっかけづくりにしたい。播州乾麺として伝統や品質など守るべきものは守りながら、新しい切り口のものを取り入れることは協議会の目的でもある。