日東ベスト 増収基調もコスト高負担 価格改定浸透に注力

業務用冷凍食品が主力の日東ベストは、このほど千葉県船橋市の営業本部で記者会見を開き、塚田莊一郎社長らが前3月期業績と22年度の見通しなどを説明した。直近の今期業績について、塚田社長は「トレンドは前期と同様で、外食分野の回復や病院・施設分野の伸長で増収ペースとなっているが、原材料をはじめ急激なコスト高で利益は厳しい状況にある。浸透が遅れている価格改定にも引き続き取り組み、着実に挽回していきたい」などと話した。

会見の冒頭、大沼一彦会長は「第86期を迎えたが、気候変動・原材料高・物流問題など業界を取り巻く環境はますます厳しさを増している。こういう時こそ全社で一致団結して乗り切っていきたい」と語った。

22年3月期の連結売上高は497億4千600万円(前期488億9千700万円)と増加。うち、ウエートの大きい冷凍食品が396億5千500万円(同381億7千600万円)と約15億円上乗せして牽引した。分野別で総菜が前年並みにとどまったものの、外食が一定程度回復し、給食は病院・施設向けの寄与で増勢した。商品群別にみると、ひき肉加工品(ハンバーグなど)が11%増と好調。内田真帆子常務営業企画部長は「巣ごもり消費を背景にC&C業態や食品スーパーの業務用商品コーナー向けで引き合いが増えた」。畜肉フライ品(トンカツ、ハムカツなど)は3%減、袋入り畜肉調理品(牛丼など)は5%増、その他畜肉調理品(ハム・ソーセージ類など)は2%増、農水産調理品(麺類など含む)は7%増、冷凍デザートは1%増。一方、他カテゴリーは日配食品が75億1千800万円で微増、缶詰部門が25億7千600万円でマイナス。なお、連結および部門別売上高の前年比は「収益認識に関する会計基準」適用のため非公表。

23年3月期業績は、売上高555億円、11.6%増、営業利益9億円、6.7%増、経常利益10億円、10.1%増、純利益6.5億円、7.0%増を見込む。二ケタ増収の計画について、塚田社長は「価格改定分とコロナ禍からの回復を織り込んだもの」と説明する。同社は原材料価格・原油価格・電気料金などの高騰を背景に、商品群を分けて昨年12月、今年3月と二段階で価格改定を実施済み。ただし、「正直に言ってユーザーの反応は厳しい。メニュー売価を上げづらい事情があり、浸透に時間がかかっている」(塚田社長)。一方で「問屋は前向きに反応してくださるところが大半。共同で商談に回るケースも多く、引き続き得意先の理解を得られるように取り組んでいきたい」。なお、ユーザーによって実施時期にバラつきがあるが、直近の6月から秋に向けて再び価格改定の商談に入っている。

目下の重点施策は渡邉昭秀常務営業本部長がコメント。デリカ・外食に向けて付加価値あるトンカツを強力に売り込むほか、テレビ会議システムで全国の支店をつないだ営業推進会議を適宜開き、販売面の好事例をスピーディーに横展開できる体制をとっているという。加えて、人手不足でニーズが高まっている病院・介護施設向けに注力商品「ホスピタグルメ」「スムースグルメ」の提案も強化していく方針。

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