日生協 組合員3千万人に 利用やや鈍化の子育て世代へWEB活用でアプローチ強化

日本生活協同組合連合会は17日、都内で会見し、2021年度の事業実績、2030年度を計画年次とする「2030ビジョン第一期中期方針」の進捗状況、2022年度の事業方針などを明らかにした。

「全国の組合員数(医療・学校生協含む)が3千万人を超えてきたということが2021年度の最大のトピック。事業高、供給高ともに前年は若干下回ったが、前々年との関係では引き続き高い数値を維持している」(嶋田裕之代表理事統括専務)との言葉通り、全国生協の概況(21年度推計)は、組合員数が前年比101%(3千27万人)、総事業高99.8%(3兆8千56億円)、供給高96%(3兆2千19億円)。

全国63主要地域生協の2021年度供給高は、前年比98.9%(3兆922億円)。内訳は宅配99.2%(2兆1千148億円)、店舗97.7%(9千273億円)。宅配、店舗とも前年割れだが、2019年度との比較では、宅配114.8%、店舗103.4%。組合員数は101.4%(2千336万人)となり、世帯加入率は39.1%にまで拡大した。

日本生協連のコープ商品事業は供給高99.4%(3千383億円)。全部門で予算を達成し、特に冷凍食品、菓子飲料、家庭用品が好調に推移した。

第1期中期方針の最終年度となる22年度は「環境変化に対応し足場を固める期間」と位置付け、宅配事業のリノベーション(再強化)、DXの推進などをさらに加速させていく。

特に「30代、子育て層を中心とした加入、利用の実態が3年前と比較してもやや悪い」(藤井喜継代表理事事業担当専務)ことから、SNSやWEBを活用した若年層への働き掛けを進めていくほか、注文アプリの改善などによる客単価の向上を目指す。客単価や買上点数増に向けた施策として、レシピから注文できるWEBサービス「コープシェフ」も全国に拡大していく考え。

土屋敏夫代表理事会長の話

ウクライナ情勢では、私たちの暮らしと生協の事業の足元を揺るがす大きな変化が訪れている。食料、エネルギーをはじめ、さまざまな資材の調達不安や急激な物価上昇により、家計の大きな負担になっている。ウクライナ危機の影響は、コロナ禍で厳しい状況にある社会的に弱い立場の人々に重い負担をかけ、一層の貧困と格差拡大の懸念が生まれている。生協、協同組合のさまざまな助け合い、危機におけるつながる力の価値が改めて鮮明になってきた。SDGsの達成に向けた取り組みが社会でも広く進みつつあり、環境、人権課題への対応やサステナビリティへの取り組みも進行している。

生協でも昨年策定した生協の2030年環境サステナビリティ政策に基づいた取り組みを一層加速させていく。山積する課題の一つ一つに対して引き続き会員生協、組合員とともに解決に向けて力を尽くしていく。

 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)