FRANKEのコーヒーマシンがオフィスで拡大 新しい働き方に対応 

 三井倉庫ロジスティクスが昨年、リース・販売を開始したFRANKE社製のフルオートエスプレッソコーヒーマシンAシリーズの「A300」がオフィスを中心に導入拡大している。

 「A300」の特徴は、1日80杯程度、高品質コーヒーの抽出に対応する外食・オフィス向けの業務用コーヒーマシンのスペックを持ちつつ、100V電源で動作し家庭用コンセントに対応している点にある。

 抽出のたびに水を瞬間的に沸騰させる特許技術も特徴で、この点がお湯を長時間保温するボイラー式と比べて待機電力を要さずエコの観点から支持を集めているという。

 この特許技術は単に水を沸騰させる従来のサーモブロック式をより進化させた過熱システムで様々な温度帯に対応する。

 取材に応じた奥津忠行氏は「水が熱源をスパイラル状に通る仕組みで、水の通るスピードを調整することによって温度を変えられるようになり、コーヒー豆の種類やドリンクの種類に応じた温度帯での提供が可能となる」と説明する。

 このようなスペックが、コロナ禍による新しい働き方に対応しオフィスで受け入れられている。

 「オフィスの省人化したスペースに好適なほか、リモートワークが浸透する中、パソコンやデータを自宅に持ち帰れず出社せざるをえないIT・金融関係の従業員に向けた福利厚生として、おいしいコーヒーのニーズが高まっている。導入企業さまからは、おいしいコーヒーで出社のメリットを高めリモートワーカーとの不公平感を解消する狙いもあると聞く。A300は高品質で費用も抑えられるということでご支持をいただいている」。

 オフィス以外にも、コロナ禍で打撃を受けたカフェをはじめとする外食やゴルフのクラブハウスといったレジャー施設での導入も拡大している。

 三井倉庫ロジスティクスのコーヒーシステムズ事業の22年3月期の売上高は前年を超え右肩上がりで推移している。今期も前年を上回る売上高を計画している。

拡張した戸田事業所(埼玉県戸田市)のワークショップ - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
拡張した戸田事業所(埼玉県戸田市)のワークショップ

 事業の拡大とともに社会課題にも対応する。

 高まる環境意識に向けた新たな取り組みとしては、2030年に向けたSDGsの考え方を取り入れて物流を通じたサプライチェーンサステナビリティの実現を支援する新たなサービス「三井倉庫SustainaLink(サステナリンク)」の提供を開始した。

 コーヒーシステムズ事業としては、昨年、戸田事業所(埼玉県戸田市)のワークショップを拡張し、撤去されたマシンを整備し新品に準じる状態に仕上げるリファービッシュを段階的に展開している。

 「8台同時にリファービッシュでき、機材が痛まないように屋内で常温保管できる部品庫と倉庫を設備している」とし、これにより設置→保守・点検→撤去・回収に留まっていた従来のスキームに、再生→設置前点検のリサイクルマシンビジネスが加わった。

 「各業界の様々な機器に関するテクニカルサービスのノウハウとロジスティクスをかけあわせたテクニカルロジスティクスというビジネスモデルの一環で、たとえば“従業員が減り小さなマシンに切り替えたい”というご要望に対して、引き取ったマシンを清掃し、消耗品を全て交換して生まれ変わらせる。このように、お客様の資産を無駄にしないように保管し、新たな商談で設置の際には、点検してから設置していく」。

 厳しい市場環境で投資を抑える動きにも寄り添う。

 「マシンのライフサイクルは通常5年だが、外食店さまなどから少しでも長く利用し、投資効果を高めたいというご要望をいただき、プリベンティブ・メンテナンス(予防整備)を行っている。紋切型ではなくテラーメイドの保守で、お客様の水の硬度など様々な情報をいただきながら、それぞれのお客様にあわせてマシンをいかにいい状態で長持ちさせることにも取り組んでいる」と語る。