カゴメの家庭園芸事業 「植育」で体験価値を創出 トマト栽培講習会、アプリ開発も

カゴメは13日、夏野菜の栽培シーズンに向けて園芸資材製造卸のプロトリーフ社と共同で、お客様向けのトマト栽培講習会を玉川髙島屋S・Cガーデンアイランド内のプロトリーフガーデンアイランド玉川店で開催。トマトの育て方やコツ、リニューアルしたトマト栽培サポートアプリ「トマサポ!」などを実演しながら紹介した。

カゴメは、栽培から食卓まで一貫したバリューチェーンを持つ企業特性を生かし、8年前からプロトリーフ社と共同で家庭園芸事業を開始。自社で育種、品質開発を行い、オリジナリティの高いトマト苗を商品化している。主な品種はサクランボのような食感の「ぷるるん」、高糖度の「あまたん」、ミニトマトでは珍しいピンク系の「ちいさなももこ」、色鮮やかなミニパプリカがたくさん採れる「こすずちゃん黄」。また、燃えるごみとして捨てられ、軽くて持ち運べる培養土「トマトの土」も販売しており、初心者や集合住宅でも簡単にトマト栽培が可能と好評を得ている。

吉田知史氏(カゴメ) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
吉田知史氏(カゴメ)

カゴメの吉田知史野菜事業部種苗グループ部長によると、「コロナ禍による巣ごもり需要の高まりにより植物とふれる機会が増えた結果、園芸人口が増加。過去2年間で約230万人が新たに園芸を開始し、さらに20~40代の若年層が新たに始めた」と言う。

同社では、栽培ビギナーのためのトマト栽培サポートアプリ「トマサポ!」を開発し、育て方や水やり量などを解説。コミュニティサイト「&KAGOME」において、トマトの苗を植えて育てるコミュニティ「トマコミ」でファン同士の情報交換や写真投稿、レシピ紹介などを掲出している。加工食品や生鮮食品を通して「食育」を標榜してきた同社は、「園芸事業による、もう一つの『植育(しょくいく)』を提唱し、モノを売るだけでなく、体験価値(コト)への共感者を増やし、園芸市場の活性化に貢献する」方針。

カゴメと共同で「トマトの土」を開発したプロトリーフ社は、コーヒーチェーンのコーヒー粕から生まれた培養土「コーヒーの恵み」や、インド・スリランカのココヤシをベースにした「かる~い培養土」なども販売。「消費は20代から30代のニューファミリー層に移っている」(加能裕一郎副社長)と言う。

カゴメとプロトリーフは3月下旬から、全国のホームセンターや園芸専門店で22年シーズンの家庭園芸用苗の販売を開始。今シーズンは見た目もかわいく珍しいピンク色のミニトマトを新発売した。初心者でも育てやすいミニパプリカは、カラーバリエーションを拡充し3品種となった。