コーヒーの需給バランス崩壊目前 「2050年問題」解決目指しUCCがセミナー

UCCホールディングスとUCCコーヒーアカデミーは「コーヒーと考えるSDGs」と題するセミナーを開始して、コーヒーユーザーに留まらずSDGs関心層に向けて幅広く情報発信していく。

地球温暖化で気候変動が続くと2050年にはアラビカ種の栽培適地が15年比で50%にまで減少する「コーヒーの2050年問題」の解決への貢献が目的。

19日取材に応じたUCCコーヒーアカデミーの栄秀文学長は「コーヒーの需給バランスが崩れるリスクが目前に控えていて、これを何とか改善していくのが大きな目的」と説明する。

UCCは、需給バランスの改善に向けて、JICA(国際協力機構)とともに「ベレテ・ゲラ・フォレスト森林保全プロジェクト」に取り組むなどさまざまな活動を展開している。

栄秀文学長㊧(UCCホールディングス)と関根理恵課長(UCCコーヒーアカデミー) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
栄秀文学長㊧(UCCホールディングス)と関根理恵課長(UCCコーヒーアカデミー)

セミナーでは「一方的に説明するのではなく受講生とディスカッションしてお互い模索しながら進めていく」。同セミナーは、SDGsの基礎的な知識を無料で伝える45分の入門編ほか、コンサベーション・インターナショナル・ジャパン代表理事でコンサベーション・インターナショナル バイスプレジデントの日比保史氏をゲストに招いた90分の特別編(2千200円)、60分の基礎編(1千円)の三つのコースを用意している。

UCCホールディングスの関根理恵サステナビリティ推進室課長はこの日、メディア向けに入門編をオンラインで実演した。

コーヒーが収穫からカップで提供されるまでの一連の流れを描き公式サイトなどで公開している「コーヒー豆の大冒険」のショートムービーを紹介したほか、前述のUCCの活動やコーヒーノキ1本でカップ約40杯分のコーヒーしか収穫できないことなどに触れた。

コーヒーノキ1本で収穫できるコーヒーチェリーは約3㎏。そこから皮や果肉を取り除き乾燥・脱穀して約500gコーヒー生豆を取り出し、焙煎して約400gのコーヒーとなる。1杯8~10g換算で約40杯分とした。

栄秀文学長は、アラビカ種だけでなくロブスタ種についても警鐘を鳴らす。「ロブスタは、直訳すると『強い』という意味。気温が少し高くても育ち、病害虫にも強い耐性を持つが、気温の上昇が続けば収量は減り、コーヒーは寒暖差で甘い酸味を出すことから味わいにも影響する」と述べる。

受講対象は、コーヒー愛好者に限定せずSDGsに関心を持つ層を想定。栄秀文学長は喫茶店・カフェなどの外食関係者にも受講してもらいたいという。「一般消費者がSDGsに非常に興味を持たれており、外食の方もSDGsをしっかりと理解されて具体的にどのような取り組みをされているのかをアピールしていかないと今の時代に取り残されてしまう」と呼びかける。

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