消費者も気づかないニーズ 「香り」把握し開発に活かす 高砂香料工業

食品や飲料にとって、その特徴を最大限に生かすフレーバーは商品価値を決定づける重要なファクターとなっている。香料業界トップの高砂香料工業は、香りに求められるニーズをどうキャッチし、商品開発・提案に生かすのか。マーケティング担当者に聞いた。

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当社では、近年の社会環境の急激な変化がもたらす消費者ニーズに対して、香料会社の視点で顧客の商品設計における課題解決に貢献をするため、マーケティング・CIMR機能の強化を行っている。CIMRとはConsumer Insights & Market Researchの頭文字をとった当社の造語で、消費者自身も気づいていないニーズ(インサイト)を「香り」という切り口から把握し、そこで得られたデータをもとに香料開発を行うことで、戦略的に創香や提案につなげることを目指している。

調査は目的に応じて、数や割合を指標に現状を把握するための定量調査、および調査対象者の発言や行動観察で感情や価値観を得るための定性調査をもとに、得たデータを収集・解析して、新たな顕在ニーズやインサイトを探るために実施している。

従来の商品開発やアイデア提案は、主にマーケティング部門が市場トレンド動向からヒントを得て、そこにアイデアを加える方法が主流であった。現在では、マーケッターの知見とアイデアに加えて、CIMRが設計し実施する消費者調査や知り得たインサイトも融合させることによって、より説得力があり差別化できる提案ができるようになったと考えている。今後も継続して、営業からの顧客の課題解決につながるヒント、研究からの具現化させるための香料技術とアプリケーション技術との融合を行い、さらなる価値のある提案を実施していく。

香りに求められるニーズは、近年の社会環境や消費者のライフスタイルの変化に応じて変わってきており、キーワードとしてウェルネスとコンフォートを挙げている。ウェルネスでは心・体・環境の健康をサポートする原料選択と香り作り、コンフォートにおいては心と体を満たすもの、慣れ親しんだ安心感を体現できるフレーバー作りに向けて、グローバルで連携し探索を行っている。

一例として、プラントベース食品向けの商品の開発強化と合わせて、レモン、キウイ、ブルーベリーなどの香りが持つ心地よい酸味感からリフレッシュ感、ストレス低減のイメージを想起させることは新しい方向性として見いだしている。