日常に根付く包装餅 「数十年に一度のチャンス」 コロナ後を視野に攻勢

本格シーズンが近づく包装餅。とはいえ売上の4割近くが12月に集中する際物商材だが、コロナ禍を契機に昨年からはやや違った様相も見せ始めている。感染拡大の沈静化に期待感が高まる一方、根付き始めた日常食としての餅需要を、アフターコロナに向けて育成する動きが活発だ。

昨春の緊急事態宣言後に高まった食品の買いだめ需要の余波から、季節外れの特需が発生した包装餅。冬場だけでなく通年で日常食として使えることに着目されたことで、その後も需要は堅調に推移している。

総務省の家計調査では、一世帯(二人以上世帯)当たりの「もち」支出額は昨年12月には前年同月比4・5%増を記録している。伸び率でみれば昨春の特需には及ばないが、母数では圧倒的な同月のこの数字は大きい。

さらに注目すべきは、年明け後の伸びだ。1月は34%増。例年なら正月三が日を過ぎて餅の登場機会が減る時期にも、家庭内在庫として滞留することなく消費され続けたことがうかがえる。

2月以降はさすがに前年の反動が表れたものの、6月には再び前年超え。7月も前年同水準を維持している。

包装餅業界では、冬の風物詩としての性格を脱して日常利用が定着し始めた現在を「数十年に一度のチャンス」(メーカー関係者)とみて攻勢に出る。

最大手のサトウ食品では高まる健康志向を受け、業界初の乳酸菌を配合した包装餅「サトウの切り餅・まる餅 乳酸菌+(プラス)300g」を発売。越後製菓では、昔ながらの厚みのある餅を追求した「生一番 厚切り餅」で、本来のおいしさをアピールする。たいまつ食品も、味付け油あげと杵つき餅がセットになった「お餅屋さんが作ったいなりもち」、朝食シーンの開拓を目指す「おはようギザギザもち」など、新たな食べ方を提案する商品を発売した。

1世帯あたりの餅支出金額推移

このチャンスを逃さず、いかにコロナ後の市場成長につなげるのか。業界は勝負のシーズンを迎えている。