敗北宣言に注目

将棋は敗者が「負けました」と敗北を宣言して終了するユニークなゲームだ。敗北したという事実を自ら受け入れることは遊びでも悔しく、真剣勝負ならなおさらだ。

▼いよいよ間近にせまったアメリカ大統領選挙も毎回、「敗北宣言」が注目される。法律的な規定はないが、大統領引継ぎの実務は敗北宣言によりスタートするため重要だ。

▼敗北宣言は名演説が多いことでも知られており、大統領選でアイゼンハワーに2度挑み2度とも敗北したアドレー・スティーブンソンの敗北宣言は名演説として名高い。もっともスティーブンソンの場合、劣勢が予想されていたので敗北宣言を推敲する時間はたっぷりあっただろう。

▼前回の事前の予想に反して敗れたヒラリー・クリントンは負けることを予想しておらずスピーチの原稿がまったく用意されていなかったらしいが感動的なスピーチだった。

▼今回の選挙では、仮にトランプが負けたとしても敗北宣言を行わないのではと危惧されている。これまでたびたび慣例や常識を覆してきたトランプだけに、ありえない話ではない。