食品事業7年目、グループの強み生かし新たな需要を着々開拓 アイリスフーズ

1958年、大阪の小さな町工場から創業。養殖用ブイに始まり、園芸用品やペット用品、収納ケースなどのプラスチック製品、照明器具、家電、寝具など多岐にわたる分野でオリジナルの製品を生み出してきたアイリスオーヤマ。現在では国内外に26社を抱える一大グループに成長した。コメを中心とした食品事業を担うアイリスフーズは、13年に設立。グループの強みを生かした事業展開で躍進を続けている。

アイリスグループが精米事業に参入したきっかけは11年の東日本大震災だ。

「仙台に本社を置く企業として、東北の被災地に貢献できることはないか――という現会長(大山健太郎氏)の考えから、地元の主力産業である農業、とくにコメで貢献しようと事業に参入した」。アイリスフーズの山田次郎社長が語る。

「アイリスの生鮮米」として販売するコメ製品の大きな特徴が、従来にない2合/3合の小袋や小分けパック。新鮮なうちに使い切れるサイズとして新たな需要を獲得。グループの主力チャネルであるホームセンターのほか、スーパーやコンビニにも配荷が広がる。

「発売後3年くらいはあまり認知されなかったが、大手コンビニに採用されてから一気に認知が進んで、スーパーにも入るようになり、販売も伸びていった」(山田社長)。

もう一つの特徴が「低温製法」。15℃に保たれた工場で保存、精米、包装を一貫して行い、コメの鮮度を保つ。低温下での精米で鮮度が維持できることは知られていたが、その仕組み作りにコストをかけることは行われてこなかったという。

農協やコメ卸を中心とした既存の米穀業界にとって、外部からの参入となった同社。「最初は警戒されていたものの、当社の商品は小袋なので既存製品と競合しない。コメ卸の方々ともお会いするが、アイリスの参入は市場活性化に貢献するものとして好意的に捉えている方が意外に多いと感じる」。

低温製法米を生かした包装米飯や切り餅も展開する。プラ製品などを製造する既存の工場に米飯ラインを入れるため、土地の取得や建屋の建造にリードタイムがかからないのも同社の強みだ。

包装米飯は今春以降の長期休校や緊急事態宣言に伴い需要が急増。現在もフル生産が続く。これまで納入していなかったスーパーからも、需要急変へのリスクヘッジを背景に引き合いが増えたという。また例年は正月以外の販売量が少ない切り餅も、コロナ禍を契機にレンジアップですぐ食べられる即食性が支持され通年での販売が増えてきた。

来月には、白米に混ぜて炊ける小分けパックの「発芽玄米 300g/700g」を発売。外出自粛に伴う健康意識の高まりにも期待する。

「『簡単・便利・おいしい』がコンセプトの食品事業は7年目。当初は家電メーカーがなんで食品を?といったイメージもあったが、最近はアイリスのロゴがむしろ安心感につながっている。コメをベースとしながらも、可能性がある分野には今後もチャレンジ。スーパーなど、ホームセンター以外のチャネルもさらに開拓していきたい」。

19年度の食品事業売上高は約150億円。今期200億円、将来的に400億円以上を目指す。