関西地域卸の現状を聞く 不安定な入荷続き 需要増も供給難 R-netが緊急オンライン座談会

新型コロナウイルスの感染拡大は、食品業界にあらゆる面で影響をおよぼしている。外出自粛により飲食店やホテルなどの業務用商品が打撃を受ける一方、スーパーを中心とする市販用食品の市場は内食需要の高まりを背景に伸長を続けている。しかし、急速な需要の増加は供給の停滞を招いており、そのしわ寄せはバイイングパワーの脆弱な中小の卸や小売に来ている。

こうした中、関西の地域卸連合であるR-net加盟企業の経営者に地域卸をめぐる現状と問題点、コロナ禍終息後の展望などを語ってもらった。今月初めに開かれた、R-net初の試みである「オンライン座談会」での話をまとめた。

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――まずは、新型コロナウイルスが商売の面でどう影響をおよぼしているか、また、業務においてはどのような変化が表れているか教えてください。

上田勲(カミタ社長) 3月から影響が出始めて、4月にそれが大きくなった。当社が運営するレストラン事業は売上が落ちたため休業した。その減少分は、わずかではあるが市販用でカバーしている。それよりも、一番大きな問題は商品がそろわないことだ。

髙木誠治(丸正高木商店会長) 部門によって大きな差がある。4月の売上高は当社のC&Cで言えば、旗艦店の三条店はインバウンド需要やイベントがほぼゼロになり前年比88%。一方、一般消費者向けの桂店や高槻宮野店は120~125%、生鮮の産直ひろばは128%と格差が見られる。本社の卸売は105%で、全社的には前年並みだ。

一般消費者と接触することの多い店舗では、衛生管理や営業時間の短縮、従業員に手当を出すなど早めに手を打った。

藤澤康雄(藤澤会長) 4月の部門ごとの状況は食品部が前年比100%、水産部と生鮮部は前年を下回った。食品部は注文のあった商品を全部配達できていれば120%までいったと思われるが、あまりにもメーカーからの欠品が多い。

水産部は得意先のSMが鮮魚を外食店に納めているものが結構あり、それらがほぼゼロになっている。農産物を多く扱う生鮮部でも城崎温泉など山陰の民宿に収めているが、それらが全面的に休業となり影響を受けた。

玉置宗克(共栄社長) メーカーの欠品に伴って、売上げが徐々に落ちている。店からの注文は多いが、それ以上に欠品が増えている。4月当初は前年比120%以上だったが徐々に減ってきて、最終的には105%程度の着地になった。業務筋の得意先はかなり厳しい。

従業員は庫内作業や営業、事務など、各部門で必ず一人は自宅待機としているが、どうしても人手不足が起こる。

遠藤学(エンド商事社長) 当社は業務用が主体なので、卸部門はかなり落ち込んでいる。特に酒類がさっぱりだ。酒類専門の卸は2割、3割まで落ちていると聞く。C&Cの店舗も一般のお客様は増えているが、業務店の買い込みが落ちており、客数は上がっても客単価が上がらない。

今後、業務店は再開すると見ている。もうこれ以上は我慢できない状況にあり、3密を避けて営業時間も20時までというように限定しながら営業する店が増えてくるのではないだろうか。ただ、大型施設の中の店舗などはすぐに再開できないので、依然厳しいことには変わりない。

松本好雅(瀬川食品社長) 昨年4月は大型連休の前でかなり良い数字だったので、それを超えるのは難しいと思っていたが、その数字を上回り年末並みの売上げ規模となった。

ただ、欠品が増えており、それがどこまで波及していくのかという心配がある。また、欠品を処理する時間が増えているため勤務時間に影響している。

酒井修司(大楠屋社長) 売上に関しては小売部門が良いので、3月、4月とも好調だった。ただ、欠品が非常に多いため、代替商品をいかに見つけて売るかが大事になる。

末元義和(グローリージャパン社長) 全般的には昨年と同じぐらいの数字だが、当社も部門によって異なる。小売部門の方は良いが、イベント等がなくなり業務筋の得意先が減り、一方でもともと少なかった一般のお客様が増えている。

業務に関しては、閉店時間を19時から18時に前倒しした。パートさんからは不安の声もあり、フェースシールドを着用したり、レジをカバーするなど対応している。

駒利夫(東乾社長) 3月の本決算は102%で着地した。新年度の始まりである4月はネット関係の商売が好調で、目標に対し153.5%となった。

上位集中、中小は後回し 欠品への対応策

――全般的に市販用を中心に食品に対する需要は高まっていますが、一番の問題は商品が入ってこないことのようです。

上田 注文通り入ってこない状況が3月頃から始まり、4月以降特に顕著になった。メーカーにもよるが、パスタやラーメンなどの麺類、調味料などは、欲しい商品がなかなか入らない。

玉置 ラーメンやパスタソース、調味料などを中心に、得意先からはかなりの量の発注が上がってくる。一方、メーカーの方はさまざまでこちらの注文に対し、1ケースでも2ケースでも送ってくるところもあれば、まったく連絡がなく、ある日まとめてパレット2枚が送られてくる場合もある。

受けるわれわれの方も混乱する状態が続いており、4月以降、その落差が段々と大きくなってきた。ただ、全体的には入ってこない。メーカーもGWを返上し工場を稼働し、この状況を少しでも緩和させようとしたようだが、店の方でも商品を切らしてはならないと、大手量販店を中心にかなりの物量が動いている。今後どの程度回復できるのか見えづらい。

高木 大手量販店が納入業者に対しペナルティをかけて、商品を買い占めている。そのため、中小が後回しになるという構造的な問題がある。これまでも、災害が起きるたびに繰り返されてきた。

ただ、このことはあまり一般に知られていない。政府は「商品は十分にあります」と国民に呼びかけているが、商品が入らずに中小の小売店や地域の卸が苦戦していることをもっと世間に知ってもらいたい。愚痴ばかり言っても始まらないので、世論を味方につけることが大事だ。

日阪俊典(大物社長) 単独店はもちろん、5~6店の小売企業にも商品が届いていないという現状がある。

大手の店には十分あっても、高齢者を含むさまざまな人に商品を届ける役割がある地域のスーパーまで流れてこない。モノの流れが上位に集中している現状を、もっと訴えなければならない。

――このように商品がない中での対応策は。

酒井 欠品が多い中、「ありません」で終わるのではなく、いかに代替商品を見つけるか。例えば市販用のホットケーキミックスがないのなら、業務用を売ればよい。業務用卸は全般的に厳しいので、提案したら案外仕入れができる。

食品以外のコロナ対策商品も売上げに寄与する。今、耳掛け付フェースガードを事務職の社員向けに使っているが、これをスーパーに提案したら買ってもらえた。社内で使うだけではなく販売も行う。

末元 欠品しているのは大手メーカーの商品が多く、逆に中小では商品が余って困っているところもある。例えば、ディズニーランドやUSJなどの土産向けの商品を作っていた工場ではその中身が余っており、それらを格安で売るとお客様に喜ばれた。同時にNBの欠品をカバーすることにもなる。

卸売は厳しいがネット販売は好調という得意先があれば、ネットに合うような商品を一緒に開発することもできる。ただ、今は直接会っての商談ができにくい状況なので、タイムラグはあるかもしれない。

終息後の期待と不安 協業しビジネスモデルを構築

――いまだ先行きが見えにくいのが現状ですが、今後、終息が見通せた時、何をすべきだと考えますか。

上田 今までみんな我慢しており、その反動としてイベントなどが相当増えるのではないだろうか。レストランで少しでも美味しいものを食べたいというような欲求が出てくるのではという期待もある。

高木 心配なのは、得意先が次々と廃業されていくことだ。家賃やパートさんの給料は払い続けないといけないが、売上はガタ落ち。特に京都は観光関連の企業も多いので、ホテルや民泊も厳しい。80%減が2か月、3か月続くと廃業の決断をするところが出てくるだろう。それが1、2件ならまだしも、10件、20件出てくると大きく影響してくる。さらに売掛金が入ってこないので終息後も大変だ。

また、5年後、10年後を考えると、流通構造と産業構造ががらりと変わる。大資本が力を出し中小が追いやられた時に、どのような新しいビジネスモデルが構築できるか。それをR-netとして知恵を出し、考えていかなければならない。

遠藤 現段階で当社は配送を間引くことなく、3密を避けて通常通り営業活動もしている。ただ、周りの企業は配送を減らしているので、それをやっていない優位性が出ている。

売上は減っているが、変わらぬ行動をしながら体力を蓄えて耐え忍ぶのみだ。従業員には働けるありがたみを感じてもらいつつ、明けるのを待つ。

松本 遠藤社長の言われる通り、いろいろな業界が大変な思いをされている中で、仕事がある喜びを感じている。テレワークが進化しているが、われわれのような規模の企業では在宅勤務はやりづらい。

今まで心と心のつながりで、商売をしてきた部分がある。それを取り戻すためにも、落ち着いたら訪問回数を増やしていきたい。

玉置 徐々に収まれば良いが、急に流れが変わるようなことになれば、何かしらの影響が出るのではないだろうか。モノが十分にある状態に戻った時、売れなくなるとか、売れなくなったものがどこに行くのかという懸念がある。

スムーズに運ぶと良いが、必ずしもそうとは言い切れない。物事の流れをきちんととらえながら元に戻していく必要がある。

酒井 ライフラインを守る地域問屋、地域スーパーとして、われわれの存在価値と意義が高まっている。一方でテレワークやフレックスタイムも導入しているが、小売業はお客様で混雑が常態化しており、医療現場に次いで感染リスクのある現場だと言える。

従業員には、その中でもめげずに来てもらっている。イオンが1万円の手当を払うなら、うちは1万100円出すという話もしているが、特別な仕事をしているのだという意識付けをすることが重要。

今はコト消費がゼロになっているが、終息後にそれが爆発しイベントが増えるかもしれない。その時に食品では何ができるのか。いつ終わってもいいように、準備はしておかなければならない。R-netとしては協業し知恵を出し合い、平等に商品を供給してもらえるよう要請し、社会貢献ができるよう商品供給と調達に努力する姿勢が一番大事だと感じる。

日阪 商売がこれまでの2割、3割という事態に陥っている業界・企業もある中で、われわれはこの状態をある意味、ありがたく思いながら着実に物事を進めていくことが大事。地域のため、消費者のため地道に商売を続ける。

今後、どんな時代が来たとしても、100%あるシェアのすべてを大手が担うということはない。われわれはそのうちの10%の商圏をしっかり取るために一致団結し、自分たちのビジネスを確立すべく前向きにやっていきたい。

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