業界初、 ビール&スープの工場 ポッカサッポロ

スープ事業加速へ仙台に新製造拠点

ポッカサッポロフード&ビバレッジは今秋、4つ目のスープ製造拠点としてサッポロビール仙台工場内に、カップ入りスープの製造設備と粉末スープ顆粒原料の造粒設備を持つ仙台工場を新設・稼働し、伸長するインスタントスープ需要に対応していく。仙台工場への投資額は26億円。

スープ市場は昨年、暖冬の影響で久しぶりに前年を2%程度割ったものの、80年台からほぼ右肩上がりで20年には00年比で約2倍の規模に拡大する見込みとなっている。

工場の外観(サッポロビール仙台工場)
工場の外観(サッポロビール仙台工場)

同社の稼ぎ頭であるカップ入りスープ「じっくりコトコトこんがりパン」シリーズも02年の発売開始以来ほぼ右肩上がりで、18年には累計販売数5億個を突破。同シリーズの「コーンポタージュ」は18年インスタントスープ市場の単品年間売上ランキングで1位。

同シリーズはクルトンからヒントを得た“パン”をスープに入れたことで女性のランチシーンを獲得。パンをスープに浸すことでお腹の満足度が高まることから、使われ方も食事に添えられるものから主食へと変化していっているという。

今後、共働き世代が増加し、子育て世代は多忙になっていくことで、ランチにおける手軽さ・楽しさ・ストレス開放などは重要な要素になると同社は判断。インスタントスープ市場のさらなる拡大を見込み、この秋に製造能力の増強とラインアップの拡充を図った。

佐藤雅志工場長㊧(サッポロビール仙台工場)と黒柳伸治氏(ポッカサッポロフード&ビバレッジ)
佐藤雅志工場長㊧(サッポロビール仙台工場)と黒柳伸治氏(ポッカサッポロフード&ビバレッジ)

10日、仙台工場で発表した黒柳伸治スープ食品事業部長は「マーケットがさらに拡大すると期待している。中長期的に現状の3割増しの規模を獲っていきたい」と意欲をのぞかせる。

東北地区での存在感も高めていく。「カップ入りスープは幅広いエリアで支持されているが、スープ全体のシェアを考えると東北地区はそんなに強くない。かねてから東北に根ざしているサッポロビール仙台工場とともに地域貢献し、営業ではサッポロビールと一緒に売場づくりなどを流通さまに提案して東北地区でのシェアアップを図っていく」考えだ。

ビール工場との製造面での相乗効果については「サッポロビール仙台工場のインフラを使いながら酒と食の融合が図れる可能性が秘められている。これまでにグループ内ではさまざまなコラボを行っているが、この仙台工場の中でも人材交流によって現場から生まれてくるものもあると考えている」と期待を寄せる。

融合の象徴となるのが佐藤雅志仙台工場長兼サッポロビール仙台工場長の存在。スープ工場とビール工場の両方の責任を担っている。

佐藤工場長も「事業領域の垣根を越えて人材が協力し技術知見を生かした工場運営や物流業務効率化を推進していく」と語る。

スープとビールの製造で水や電気のユーティリティ設備を共有することで環境負荷低減を見込む。既存工場に比べ約10%のCO2排出量が削減できるという。

仙台工場にはスープの最新製造ラインを1台設置。同ラインは1分間に150個前後(増減の調整可能)の製造能力を持つ。これにより、年間約160万ケース(1ケース24個入り換算)の製造を可能とし、製品供給能力としては現状の約1.5倍以上を見込む。

製造工程は造粒・充填・包装の順に進む。造粒とは大きさの異なる複数原料を結着・乾燥させることで均一な形状とか大きさの顆粒をつくる工程を意味する。顆粒には空気層をつくることで、粉末の間にお湯を入れやすくし溶け残りにくくなっている。次に充填工程に移り、カップに顆粒と具材を充填しフタを貼って密閉する。

製造品目は現在、カップ入りスープ「じっくりコトコトこんがりパン」シリーズの「クラムチャウダー」「完熟かぼちゃポタージュ」「じゃがバターポタージュ」の3種で行っている。

容量は口径が統一されているため16オンスカップと13オンスカップの両方に対応。同シリーズでは13オンスカップを終売とし、全品を16オンスカップに戻したことで次第にボリュームが増えてきている。

「じっくりコトコトこんがりパン」シリーズ以外のブランドも、今後製造できるように検討していく。

新発売の「GRANDE(グランデ)」㊤と「1食分の野菜」(ポッカサッポロフード&ビバレッジ)
新発売の「GRANDE(グランデ)」㊤と「1食分の野菜」(ポッカサッポロフード&ビバレッジ)

秋冬に向けては、パンとスープの掛け合わせのバリエーションを強めて同シリーズのラインアップを拡充。大きいパンの食べ応えを追求した「GRANDE(グランデ)」と野菜補給ニーズに対応した「1食分の野菜」を新発売した。

カップ入りスープのさらなる成長を目指して「リゾランテ」などのカップ入り食品や辛さ訴求食品「辛王」の展開も強化していく。

黒柳部長はカップ入りスープやカップ入り食品の新たな可能性としてシニア層にも着目。「最近は年配の方々が洋食スープを飲まれる。和食から洋食へのシフトは調理を好まない年配の方のほうが進んでいるように思える。カップ入りはお湯を注ぐだけで簡単にでき、容器を洗わずに済むことからさまざまなシーンで飲まれる可能性がある」と述べる。