創業は1923年(大正12年)、95年以上の歴史を持つ広島市の老舗みそメーカー。発売から60年近く親しまれている「ゴールデン新庄みそ」、“白みその新庄”と言われるほど品評会での受賞歴も多い「白みそ」など、多くのロングセラー商品を持つ。
そのほかにも「サットとけるみそ」「かきだし入りみそ」といっただし入り、「あまくち無添加生あわせみそ」をはじめとする無添加みそなどのヒット商品を生み、開発力には定評がある。
その商品開発を主導してきた山本弘樹会長から昨年4月、バトンを引き継いだ。「商品づくりも大事だが、1年目は人づくりからという思いがあった」と初年度を振り返る。「みんなが毎日快適に働ける環境があって、初めておいしいみそができる」。
これまで総務部長や営業部長を歴任。「常に課題があると思ってやってきた。それを一つ一つ解決していくことが大事」という。広島市の本社と県北部・吉田町にある工場は離れている。昨今の人手不足も相まって、両者のコミュニケーションが十分でなかった面もあった。
その距離感を縮めるため、調整役となる部署を新設。部員がたびたび工場に足を運び、適正在庫の確認や品質管理、得意先の声を伝えるといった役割を担った。「売上げや利益のように数字として見えない部分だが、思っていた以上の成果が出ている」。
この春は売上げナンバーワン商品「あまくち無添加生あわせみそ」の即席タイプとして、「麹たっぷりのあまくちあわせおみそ汁」を発売した。両商品とも麹歩合が24割(原料大豆10に対し24の麹を使用)という特徴をパッケージでうたっている。「もともと当社の商品は麹の量が多く、それが当たり前だった。そのことを多くの人に知ってもらいたい」。
だし入りでは地元・広島産のかきを使った「かきだし入りみそ」が発売15年目を迎えた。昨年は「あごだし入りみそ」を新たに投入。それぞれ即席タイプも揃え、『こだわりのだし』としてシリーズ化も視野に入れる。「味の評価は高く、今まであまりだし入りを使っていなかった年配の人にも支持されている。低価格の商品とは一線を画したい」。
7年ほど前から、製造、営業など部門を越えた社員が集まる商品開発委員会をつくった。「会長の開発力を尊敬しているが、それだけに頼らず、市場動向や女性の感性などを取り入れ商品に反映させようと立ち上げた。一人ひとり確実に力がついてきた」と実感している。
昨年は広島経済大学と、商品開発に関する取り組みもスタートした。月1回会議を開き、学生たちと話し合う。「いかに多くの人にみそ汁を飲んでもらうかということを、学生たちも一緒になって考えてくれている」。近々、その成果としての商品化を予定している。
山本美香氏(やまもと・みか)=広島女学院短大卒業後、マツダ入社。03年新庄みそ入社後、総務部長、営業部長、取締役などを経て18年4月社長に就任。広島市出身。