飲料系飲料静岡県磐田市でレモン産地形成の第一歩 平坦で広大な農地に苗木約2000本を定植 ポッカサッポロら参画
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静岡県磐田市でレモン産地形成の第一歩 平坦で広大な農地に苗木約2000本を定植 ポッカサッポロら参画

 静岡県磐田市でレモン産地形成の第一歩が始まった。

 3月24日、農業法人のLEMONITY(レモニティ)は、古くなった茶畑を抜根して整地された約4haの農地(静岡県磐田市匂坂中309周辺エリア)でレモン定植祭を開催し、苗木約2000本を定植した。

 定植祭であいさつしたLEMONITYの鈴木貴博社長は「農業の関係人口を増やしていきたい。『農業楽しい』とか『農業をもっと応援したい』という方が増えていけば、野菜の単価も上がり、レモンも果てしなく売れていくと思う」と語る。

左から西本Wismettacホールディングスの新開裕之社長、LEMONITYの鈴木貴博社長、ポッカサッポロ佐藤雅志社長
左から西本Wismettacホールディングスの新開裕之社長、LEMONITYの鈴木貴博社長、ポッカサッポロ佐藤雅志社長

 果樹は成木になるまで5年以上を要するため大規模果樹経営には多額の初期投資と売り先の確保が求められることにも触れる。

 来賓に招かれた磐田市の草地博昭市長は「収益化までには5年かかるという。その間、しっかり伴走させていただきながら、海老芋や陸上養殖のエビ、パプリカにレモンというものが日本一に加わるように全力でサポートしていきたい」と力を込める。

 農林水産省関東農政局静岡県拠点地方参事官の河合亮子氏は来賓のあいさつで、今年2月、LEMONITYをスマート農業技術活用促進法に基づく「生産方式革新実施計画」に静岡県で初認定したことを明らかにする。

 レモンの農地には、環境モニタリングを取り入れ、土壌の水分量や栄養素などを分析し、分析データを基に適切な肥培管理を行い収益性向上を図る。データは地域のレモン農家と共有し産地の生産力強化につなげる。

 河合氏は「栽培環境のデータの把握と活用に努められて効率的で安定した栽培体系を確立されるということはこれからの農業にとってとても大きく意義のあること。少ない人数でも効率的に大規模なレモンの営農に挑戦されるLEMONITYさまのお取り組みは、静岡県の農業再生と磐田地域における国産レモンの産地化に向けた力強い一歩」と期待を寄せる。

約4haの農地。周囲には茶畑が広がる
約4haの農地。周囲には茶畑が広がる

 LEMONITYは、農業を営む鈴生(すずなり)が運営主体となり、鈴生・ポッカサッポロフード&ビバレッジ・西本Wismettacホールディングスの3社が共同出資して昨年9月3日に設立された。

 ポッカサッポロフード&ビバレッジは、社員を送り広島県大崎上島の自社農園などで培われてきたレモン栽培の知見やノウハウをLEMONITYに提供している。

 定植祭に参列したポッカサッポロの佐藤雅志社長は「当社には自社農園でノウハウを得た社員がたくさんいる。磐田市にはレモン栽培のノウハウを持たれた方は皆無に等しいとみており、農家の皆さまと交流させていただきながら、レモン作りのノウハウをお伝えできるかと考えている」と述べる。

レモン啓発するポッカサッポロの佐藤社長
レモン啓発するポッカサッポロの佐藤社長

 ポッカサッポロは磐田市でのレモン啓発活動にも引き続き注力していく。

 「我々の事業活動は啓発活動とのセットになる。レモンの総需要を上げていきたいというのが我々の強い想い。日本でレモンはまだ浸透しておらず、レモンのことを知っていただくことで自然と生活の中にレモンが増え、その結果の一部として、我々の収益も上がればいい」との考えを明らかにする。

 2024年7月には、磐田市と遠州中央農業協同組合(JA遠州中央)との連携協定を締結。今回はその一環として、締結式に先立ち佐藤社長によるレモン啓発が実施された。

 レモン啓発では、静岡県立磐田農業高等学校の学生22人と鈴生グループ「GrandFarm」が運営する福祉事業所「すずなりカレッジ磐田校」に通う6人の計28人を対象に、レモンの伝播・レモンの食文化・レモンの健康機能・レモンの調理機能の4つをテーマにQ&Aを織り交ぜながら進められた。

 レモンは定植から約5年後に果実がなり約8年後に成木になることや、一度成木になると30~50年程度、果実を収穫できることなどを伝える。
 健康機能としては、クエン酸の疲労軽減効果やカルシウムを溶けやすい形に変える「キレート作用」を紹介。「健康機能のところでは、真剣に耳を傾けていただいていたようだ。紙一面メモだらけの生徒もいて話していて嬉しかった」と振り返る。

レモンの苗木の定植を指南するポッカサッポロの土屋淳一原料ビジネス推進部部長
レモンの苗木の定植を指南するポッカサッポロの土屋淳一原料ビジネス推進部部長

 磐田農業高等学校の学生22人は、4月から果樹を専攻する生産流通科の2年生(4月から3年生)。レモン啓発受講後に定植を体験した。

 「毛細血管のように細かい根っこは成長すると下ではなく横に伸びるため、植えるときはなるべく根っこを広げて植えてほしい。土をかぶせるときは継ぎ目のところに土がかぶらないようにしてほしい」と生徒に指南するのは、ポッカサッポロの土屋淳一原料ビジネス推進部部長。LEMONITYのレモン農園づくりをサポートしている。

 今回、定植したレモンの品種は、リスボンやビラフランカなど耐寒性等日本の環境適応性が期待できる複数の品種となる。

 「これだけまとまった土地があれば機械化をしてコストも下げられ成長も促進できる。地権者の方から土地を借りてほしいと言われる環境を早くつくっていくべき。ここが最初の場所となり、ここが安定的に運営されれば周囲にも良い影響が出るはず」と土屋部長は期待を寄せる。

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