東日本大震災の発生から15年目を迎え、防災食品業界も新たな対応に迫られている。2024年は能登半島地震や南海トラフ地震臨時情報により大地震への不安が高まり、防災食は個人需要を中心に過去最高を記録した。25年もトカラ列島近海の群発地震などにより瞬発的に需要は高まったが、前年需要を超えるほどには至らなかった。
地震が発生し、慌てて防災食を買いに走るのでは間に合わない。パニック時には店頭から商品が消え、断水など予期せぬ事態も発生する。「災害はある日突然、日常を襲う」ことは誰もが認識しているが、慌ただしい日常の中では防災食は後回しになっているのが現実。「防災食を含め、防災・備蓄をしていない人は半数以上に達する」という調査もあり、この現実に防災食品業界はどう向き合うかが業界の課題だ。
地震が起こるたびに個人の防災食需要は高まるが、「地震頼みや地震期待」では社会通念に反するし、業界もそうは思っていない。普段食べている食材を多めに買い、食べた分だけ補充するローリングストックが現状の最善の策とみられている。
ただし「長期保存用食品を展開する企業」と「一般の加工食品を製造する企業」のいずれもがローリングストックの重要性を認識しているが、決して足並みは揃っていない。足並みの乱れがローリングストック浸透の妨げにもなっている。個人向けは普段使いの食材でローリングストック。官公庁や学校、企業、病院など法人向けは長期保存用食品のストックを啓発し、互いにローリングストックの浸透を図ってはどうかと見る向きもある。同じ企業でも法人系と個人向けでブランドを分けるのも一つの方法。両企業との連携やコラボも選択肢とみられている。
防災食の捉え方も多様化を極める一方、阪神・淡路大震災や東日本大震災を知らない若年層へのアプローチを再認識する必要もある。学校の授業で防災教育を受けている世代には、防災フェスや屋外キャンプ、インスタ映えする防災グッズが求められ、防災食の敷居を下げたアプローチも必要とみられる。
今年11月には、防災に関する行政を任務とする防災庁の創設が計画されている。これを機に、「各自治体での備蓄状況の報告が義務づけられることから、全国的に備蓄需要が高まる」との予測がある。防災食品業界も新たな対応が迫られている。


