パンダが上野の杜から去る、という話題が昨年末から3週間前に中国へ帰国するまで続いた。パンダ舎から徒歩10分圏内にいながら、私は一度も会いに行ったことはない。パンダで商売されている方々の心情は理解できてもファンの喪失感を共有することはなかった。
▼総じて生き物の寿命は体の大きさ、あるいは心臓の大きさに比例するという。キリンの15年、ライオンの10年と比較するとパンダは約20年。妥当な寿命かもしれない。
▼パンダを解剖して世界的な発見をした遠藤秀紀さんから聞いた話だと思うが、あの愛らしい顔は、肉食動物の器官を持つにもかかわらず、ただひたすら栄養価が低い竹を一日中咀嚼し続けた賜物だそうだ。おかげで顎の筋肉が強じんに発達し丸顔になった。
▼効率の悪さを圧倒的な量で補うパンダの食は、限りなくコスパが悪い。だが、コスパやタイパを求める現代だからこそ、ひたすら竹と向き合い、かみ砕いて咀嚼し続けるパンダの姿が頭の中で愛おしく感じる。なんだかパンダロスになってしまった。もし再来したら次こそ会いに行こう。

