サッポログループは、検討を進めてきた来年7月からの事業持株会社体制への移行を正式に決定した。
サッポロホールディングスでは12月24日開催の取締役会で、完全子会社のサッポロ不動産開発(SRE)を外部ファンドに売却することを決議。さらに中核事業会社のサッポロビールを吸収合併したうえで、26年7月から商号を「サッポロビール」に変更することを決めた。新たな事業持株会社体制のもと、酒類を中心としたコア事業の成長加速にリソースを集中させる。
同社グループでは、酒類と並ぶもう一つの柱として不動産事業を80年代後半から展開。「恵比寿ガーデンプレイス」をはじめとして、同社ビールブランド発祥の地である東京・恵比寿や札幌でのまちづくりとともに、企業価値の向上に取り組んできた。
ただ経営を取り巻く環境が変化するなか、強みを持つ酒類事業に集中して市場創造力に磨きをかけるため、不動産事業をオフバランス化(業績からの切り離し)。経営リソースを酒類事業を中心とした成長へと集中させる方針に転換し、不動産事業への外部資本導入に関する提案を国内外から募ってきた。
今回、米国とアジアをそれぞれ拠点とする2ファンドが共同出資するSPARK合同会社にSREを4770億円で売却することで、約3300億円の計上益を想定。酒類事業の成長投資に戦略的に投入し、中長期的なキャッシュ創出を強化。負債返済による財務基盤の強化や株主還元を通じた株主資本の最適化を戦略的に推進していくとしている。
本社ビルをはじめとした拠点が所在する恵比寿や札幌では今後も、顧客接点やブランド体験の場として酒類事業の価値向上を進める方針だ。
