「大変なときに申し訳ないね」。ある企業のトップは会社に届いたビールギフトを見て、そうつぶやいた。終盤に差し掛かった歳暮商戦だが、今年は様相が異なる。
▼アサヒグループホールディングスへのサイバー攻撃の影響で、定番のビールギフトは品薄が続く。ビール他社も想定外の注文に対応できず、一部歳暮ギフトの販売を中止する異例の事態となっている。
▼長期縮小傾向にある歳暮ギフトだが、ビールの存在感は大きい。これを贈っておけば間違いないという安定感のあるギフトが消え、他カテゴリーへのシフトも予想されるが、他社の営業マンは「注文が増えるのはうれしいが、ギフトの製造体制に余力はない。予定数量をきっちり売り切るのが理想」と本音を明かす。
▼物流の現場も同様だ。先週、大手物流会社が一時集荷を停止した。ブラックフライデーのEC需要に加え、サイバー攻撃を受けたアスクルの荷物が再開し、これから本番を迎えるクリスマスやおせちなど繁忙期への影響も懸念される。2025年は人手不足による供給への制約が顕在化した一年でもあった。
