スペイン産の豚肉などの輸入がストップし、関連業界への影響が懸念されている。生肉のほか、名産の生ハムも輸入停止。同じく禁輸が続くイタリア産生ハムの代替として定着しているスペイン産が調達できなくなったことで、流通や外食では混乱が広がりそうだ。
農水省はスペインの野生イノシシでアフリカ豚熱が発生したことを受け、同国の豚肉製品について11月28日から輸入の一時停止措置を講じた。
日本にとってスペインはカナダ、米国に次ぐ豚肉の調達先。輸入量全体の2割弱にあたる年間17万t前後を輸入している。大半を占める冷凍品はコスト面で優れ、主にハムやソーセージなど食肉加工品の原料として使用されている。当面は他国からの輸入に切り替える動きが進むとみられるが、メーカーでは価格や供給量の面で難しい対応を迫られる可能性がある。
さらに一部で大きな打撃になるとみられるのが、生ハムの輸入停止だ。
かつて輸入量の7割近くを占めていたイタリア産生ハム(プロシュート)も、やはりアフリカ豚熱の影響で22年1月から輸入停止が続く。
この間にレストランや流通業者では他国産での代替が進み、なかでもスペイン産は輸入量の7割を占める主力に。フランス産や米国産なども含め、全体でも昨年までの3年間で24%増加している。
生ハムも国内在庫が尽きれば他国産への切り替えを余儀なくされるものの、拡大した市場をまかなえるだけの量をすぐに調達するのは困難。輸入再開時期は不透明だが、4年近く停止しているイタリアのケースからも、長期化を見据えた対応が求められる。



