製油業界は厳しい秋を迎えている。消費者の節約志向が強まる一方、油脂コストは悪化の一途をたどっている。先月28日にはJ-オイルミルズが1月からの価格改定を発表。今期3度目の値上げという異例の事態となっている。
▼大豆や菜種の原料相場は高止まりしているものの数年前の超高値からは落ち着いている。為替も1ドル150円台で円安傾向だが、1年前と大きく動いたわけではない。ではなぜ、油脂の価格が上がっているのか。
▼最大の理由は、バイオ燃料の需要拡大だ。米国では6月にバイオ燃料の混合比率を引き上げる計画を発表し、世界的なオイル高に拍車がかかった。大豆油や菜種油の需要が増える一方で、連産品のミールは余剰感が強まり、ミール相場の低下が油脂コストをさらに引き上げる状況となっている。
▼10年以上前から、食糧と燃料の争奪戦が指摘されてきたが、いよいよ現実のものとなりつつある。従来とは異なるパラダイムで動く植物油の値上げを流通、さらにその先の消費者・ユーザーに納得してもらうか。業界は新たな試練に直面している。


                                    