セブン-イレブン・ジャパン 「本気の改革を」阿久津社長 価値創出と組織改革で再成長へ

セブン-イレブン・ジャパンは、カウンター周りの出来立て商品の全国展開や、情緒的価値を生む新たなコミュニケーション施策、仕入れ・製造・物流を含むバリューチェーン改革を軸に、中長期的な国内事業の再成長を目指す。

10月9日の上期決算会見で阿久津知洋社長は「組織として内向きになっていた部分を見つめ直し、外部から学ぶ姿勢を持ちながら新たなイノベーションを起こしていく。誰も歩んだことのない道を進む覚悟で、本気の改革をスピード感を持って進めていく」と力を込めた。

国内事業の伸び悩みについては「長年の成功で、時代変化に合わせた改革が遅れた面がある」と分析したうえで、「買い求めやすさやワクワク感を組み合わせた施策で客数と粗利を改善しつつ、長期的なバリューチェーン改革で持続的成長を実現する」方針を示した。

9月には新商品「旨さ相盛(あいもり)おむすび」を発売し、櫻井翔さん、相葉雅紀さん、天海祐希さんを起用した新TVCMも放映開始。阿久津社長は「これまで“おいしさ”が最大の価値だったが、おいしさと同時に情緒的な価値や楽しさも提供できると分かった」と手応えを示す。発売後はおにぎりカテゴリーの売上が前年比で約2割増加し、既存商品の底上げにつながった。

新TVCMには、セブン-イレブンの原点に立ち返る思いを込めた。天海さん演じるオーナーが「このコンビニで街のひとを幸せにする。それが私の夢」と語る場面については「当社の考え方を象徴する言葉。全国のオーナーと直接対話する場も設け、改めてこの思いを伝えている」と説明する。

客数減少の課題には、出来立て商品の全国展開で差別化を図る。セブンカフェベーカリーやセブンカフェティーの導入店舗では、未導入店舗に比べ粗利率が約0.1ポイント上昇した。「一定の価格転嫁があっても、消費者が価値を感じる商品や体験の提供を継続することが重要」とみる。その一方で、出来立て商品のニーズと店舗の省人化を両立させることは“接客の在り方そのものを見直す大きな挑戦”であることから、セルフレジを中心に店舗の効率化を図り、ファストフードの販売を維持しつつ売上拡大を目指す。

中期的な改革の柱に、商品の仕入れ・製造・物流を含むバリューチェーン全体の見直しと連携強化を掲げる。阿久津社長は「原価を適切に抑えながら、お客様が買い求めやすい価格を実現する仕組みを構築する。50年間作り上げてきた仕組みに手を入れるには一定の時間が必要だが、1~2年の中で改革を進め客数改善につなげたい」と力を込める。